アプリで読む

無料・登録不要

片しぐれ(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

中間の千助と恋の歌

  • 風刺
  • 心理

泉鏡花 

文字数
3,597字
読了目安
約7分
表記
旧字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

泉鏡花の短編。安政のころの本所を舞台に、色男を気取る中間の千助が、旗本屋敷の用人の若い妻に近づこうとするさまを、軽妙な語り口で描く。初出は確認できず、収録本文は祝宴の場面で終わる。

あらすじ

安政のころ、本所南割下水の大御番役、服部式部の屋敷に、上州生まれで色白の中間、千助が住み込む。よく働くので評判がよく、屋敷の女たちに次々と手を出す色好みでもあるが、ついに用人の若妻おくみに狙いを定める。年の暮れ、千助は主人の誕生日の前日、庭先でおくみに、祝いの無礼講で国々の話をするが、話に歌が出てくるので教えてほしいと頼む。おくみは、うっかり恋の歌を一首詠んで懐紙に書いてやる。祝いの夜、千助は国許の話にことよせて庄屋の妻との不義を語り、おくみの書いた歌の懐紙を取り出して、中間たちに見せびらかす。

登場人物

冒頭部(原文より)

 今も恁う云ふのがある。  安政の頃本所南割下水に住んで、祿高千石を領した大御番役、服部式部の邸へ、同じ本所林町家主惣兵衞店、傳平の請人で、中間に住込んだ、上州瓜井戸うまれの千助と云ふ、年二十二三の兄で、色の生白いのがあつた。

「片しぐれ」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

 さて祝の夜、中間ども一座の酒宴。成程千助の仕組んだ通り、いづれも持寄りで、國々の話をはじめた。千助の順に杯がつて來た時、自分國許の事に擬へて、仔細あつて、世を忍ぶ若ものが庄屋の屋敷に奉公して、其の妻と不義をする段、手に取るやうに饒舌つて、 「實は、此は、御用人の御新姐樣に。」  と紅筆の戀歌、移香の芬とする懷紙を恭しく擴げて、人々へ思入十分に見せびらかした。  自分で許す色男が、思をかけて屆かぬ婦を、かうして人に誇る術は。

「片しぐれ」泉鏡花(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品