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蛙(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

蛙の演説に蛇が現れる

  • 風刺
  • 幻想

芥川龍之介 1917年(大正6年)9月

文字数
1,440字
読了目安
約3分
表記
新字旧仮名
種別
小説

この作品について

池のほとりで寝ころぶ「自分」が耳にした、蛙たちの議論を伝える短い寓話。芦の葉の上の蛙は、水も草木も空も太陽も、森羅万象はすべて蛙のためにあると演説し、池中の蛙が喝采する。人間中心の考え方をそのまま蛙に移したような、皮肉な笑いを含んだ掌編で、末尾に大正六年九月とある。

あらすじ

古い池のほとりに寝ころんでいる「自分」の耳に、蛙たちのころろ、かららという鳴き声が届く。実はそれは盛んな議論なのだ。芦の葉の上の蛙が、大学教授のような態度で演説を始める。水は蛙が泳ぐため、虫は蛙が食うため、土は草木を生やすため、草木は蛙に影を与えるため、空は太陽を懸けるため、太陽は蛙の背中を乾かすためにある。ゆえに森羅万象は蛙のためにあり、全宇宙を創った神に感謝したいと蛙は説き、池中の蛙が「ヒヤア、ヒヤア」と賛成する。その声で目を覚ました蛇は、芦の中を這い寄り、神の御名を讃えようとした雄弁な蛙を一口にくわえて隠れてしまう。池は大騒ぎになり、若い蛙が泣き声で、蛇も我々のためにあるのかと問うと、年寄りの蛙は、蛇が食わなければ蛙は増えて池が狭くなる、食われた蛙は多数の幸福のための犠牲だ、世の中のすべては蛙のためにあるのだと答える。

登場人物

冒頭部(原文より)

 自分の今寝ころんでゐる側に、古い池があつて、そこに蛙が沢山ゐる。  池のまはりには、一面に芦や蒲が茂つてゐる。その芦や蒲の向うには、背の高い白楊の並木が、品よく風に戦いでゐる。その又向うには、静な夏の空があつて、そこには何時も細い、硝子のかけのやうな雲が光つてゐる。

「蛙」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

これが、自分の聞いた、年よりらしい蛙の答である。

「蛙」芥川龍之介(青空文庫)

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