女体(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
虱になって見た妻の体
- 幻想
- 風刺
- 文字数
- 1,092字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
夏の夜、虱になった楊が、眠る妻の裸身を山のように眺める幻想を描いた掌編。「帝国文学」に掲載された。
あらすじ
蒸し暑い夏の夜、中国人の楊は、寝床の縁を這う虱を眺め、虫の世界を想像するうち、意識がおぼろになって、自分の魂が虱の体に入ってしまう。目の前に、白く滑らかな高い山がそびえており、それが眠る妻の乳房だと気づくと、愛憎も性欲も忘れて、その巨大な美しさに見入る。楊は、虱になってはじめて、妻の肉体の美しさをありのままに見ることができた。語り手は、芸術の士にとって、虱のように見るべきものは、女体の美しさだけではないと結ぶ。
登場人物
- 楊 中国人の男
- 細君 楊の妻
冒頭部(原文より)
楊某と云う支那人が、ある夏の夜、あまり蒸暑いのに眼がさめて、頬杖をつきながら腹んばいになって、とりとめのない妄想に耽っていると、ふと一匹の虱が寝床の縁を這っているのに気がついた。部屋の中にともした、うす暗い灯の光で、虱は小さな背中を銀の粉のように光らせながら、隣に寝ている細君の肩を目がけて、もずもず這って行くらしい。細君は、裸のまま、さっきから楊の方へ顔を向けて、安らかな寝息を立てているのである。
「女体」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
しかし、芸術の士にとって、虱の如く見る可きものは、独り女体の美しさばかりではない。
「女体」芥川龍之介(青空文庫)
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