アプリで読む

無料・登録不要

鬼桃太郎(尾崎紅葉)のあらすじ・登場人物

鬼の子が挑む桃太郎への雪辱

  • 幻想
  • 風刺

尾崎紅葉 1891年(明治24年)10月

文字数
3,204字
読了目安
約6分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

尾崎紅葉が1891年(明治24年)に発表した児童向けの短編。博文館の「幼年文學叢書」の一冊として刊行された。誰もが知る「桃太郎」を鬼側の視点から捉え直し、桃太郎に敗れた鬼ヶ島の雪辱を期す鬼の子・苦桃太郎の顛末を、大仰な漢文調の語り口で綴った戯文的なパロディ作品である。

あらすじ

桃太郎に討ち入られて財宝を奪われた鬼ヶ島は、末代までの恥辱に打ちひしがれていた。鬼の王は桃太郎を討った者を新たな王にすると触れを出すが、名乗り出る者はいない。かつて城門を守っていながら桃太郎の侵入を防げず官を追われた鬼の夫婦は、桃太郎に勝る子を授かるよう夜叉神に祈願し、川に流れ着いた大きな苦桃から生まれた鬼の子を苦桃太郎と名付ける。苦桃太郎は王城で桃太郎征伐を願い出て、髑髏を黍団子に見立てた兵粮と鬼の武具を授かり、日本へと出陣する。道中、桃太郎の家来の雉に一族を食われた恨みを持つ金色の毒竜と出会って主従の契りを結び、さらに毒竜の紹介で大猿と大狼をも従えた苦桃太郎は、雲に乗って日本を目指す。ところが雲を操る術がうまくゆかず、行き過ぎては戻り、戻っては行き過ぎを繰り返すうちに毒竜の妖力は尽き、大猿と大狼は雲から落ちて海の藻屑と消えてしまう。家来を失った怒りから苦桃太郎は毒竜に掴みかかり、取っ組み合いの末に毒竜を四つに引き裂くが、その拍子に雲の術も解け、苦桃太郎自身もはるかな大空から大海原へと真っ逆さまに落ちていくのだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

むかしむかし翁は山へ柴刈に、媼は洗濯の河にて、拾いし桃実の裏より生れ出でたる桃太郎、猿雉子犬を引率してこの鬼ヶ島に攻来り、累世の珍宝を分捕なし、勝矜らせて還せし事、この島末代までの恥辱なり。

「鬼桃太郎」尾崎紅葉(青空文庫)

末尾部(原文より)

苦桃太郎迢々の虚空より足場を失い、小石のごとく真一文字に舞下りて、漫々たる大海へぼかん!

「鬼桃太郎」尾崎紅葉(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品