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伽羅枕(尾崎紅葉)のあらすじ・登場人物

手管で生きる遊女の一代記

  • 恋愛
  • 心理

尾崎紅葉 1890年(明治23年)7月 「読売新聞」

文字数
93,976字
読了目安
約3時間8分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 京都府
  • 東京都
  • 群馬県
  • 山梨県
  • 長野県

この作品について

尾崎紅葉が、井原西鶴をまねた雅俗折衷の文体で書いた長編小説。1890年(明治23年)7月5日から9月23日まで読売新聞に連載され、1891年(明治24年)10月に春陽堂から刊行された。「またしても女物語」と語り起こし、京の祇園・島原から江戸の吉原へと、一人の遊女の半生を六十章でたどる。京の商家に養女として育った少女おせんは、実の父が江戸の旗本と知り、貧しさのために自ら遊廓へ入る。のちに「佐太夫」の名で吉原に全盛を誇り、客の男たちを手管で操りながら、数々の騒動に巻き込まれていく。遊廓の習わしや衣裳、道中の様子を細かく描いた遊里の風俗誌でもある。博文館『紅葉全集』第二巻(1912年。初版は1904年)に収める本文を、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正したもので、青空文庫には無い。ルビは底本のものを可能な限り残した。

あらすじ

京の商家・西岡屋の娘として育てられたおせんは、十二歳のとき、自分が祇園の芸子小鶴と江戸の旗本・水野石見守の間に生まれた子だと知る。西岡屋が資金を借りる抵当に、おせんは和歌の師の鴨のもとへ養女に出されていた。養父が病没し、暮らしに窮した養母に請われたおせんは、自ら島原の遊廓に身を売り、「里花太夫」として全盛を極める。身請けされた大阪の老富豪が亡くなると、お花と名を改めて母と暮らすが、生計は立たなかった。お花は、京に勤番していた浅野家の用人・前田新右衛門の妾となって江戸へ下り、実の父に会おうとするが、水野石見守はすでに世を去っていた。新右衛門は紫水晶の製造に身代を注ぎ込んで家を失い、お花に男児を残して亡くなる。困り果てたお花は、幼い子を三河島の里親に預け、吉原の遊廓・亀和泉に身を売って「佐太夫」と名乗る。気丈で才覚のある佐太夫は、水戸家の家臣・田島弦左衛門が追われる身と知って匿い、尽くすが、弦左衛門は捕らえられて処刑される。その後も、美男の土佐藩士・小鈴木半之丞、兎唇の高坂時雄、親子で張り合う新堀左内・左源太など、佐太夫に溺れて身を持ち崩す男たちが後を絶たない。佐太夫は甲府の商家の息子・幸助に身請けされて吉原を出るが、金が尽きると、上州の旅籠、甲府の廓、信州の豪農、鰍沢の富豪と、身を寄せる先を変えながら生きていく。やがて髪を切った佐太夫は、谷中の寺に、関わった三十四人の遊客の石塔を建て、墓参りを続ける老女となる。

登場人物

冒頭部(原文より)

またしても女物語。京は女臈の名所、とりわけ祇園島原は其粋を萃め、二十四番の風吹絶ずして、千紫万紅の乱咲には、東夷もおのづから其色に浮れの一節、骨太の手に扇拍子を習ひ、魂忽然とろ/\と鴨川の水には刄金の鈍ること奇妙なり。

「伽羅枕」尾崎紅葉(青空文庫)

末尾部(原文より)

大悟道、大発心、その種には何が成りけむ、聞洩しつれば実事を誤らむかとて蛇足を加へず。好事士の尋ねたまはむとならば、団子坂大松葉の寮に老女なほ住めり。

「伽羅枕」尾崎紅葉(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:博文館『紅葉全集』第二巻(1912年。初版は1904年)所収の「伽羅枕」。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、本文だけを収録した(柱・扉・挿絵は省いた)。ルビは底本のものを可能な限り残した。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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