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二人比丘尼色懺悔(尾崎紅葉)のあらすじ・登場人物

一人の武士を恋うた二人の尼

  • 恋愛
  • 歴史

尾崎紅葉 1889年(明治22年)4月 「新著百種」

文字数
24,076字
読了目安
約48分
表記
新字旧仮名
種別
小説

この作品について

尾崎紅葉が1889年(明治22年)に吉岡書籍店の叢書「新著百種」の第1号として発表した出世作。戦国の世を舞台に、一人の武士をめぐる二人の女の運命を、西鶴ばりの雅俗折衷の文体で描く。山奥の庵に暮らす若い尼のもとへ、道に迷った旅の尼が宿を求めて訪れる。同じ夜、紙帳に貼られた書置をきっかけに、二人は互いの身の上を語りはじめる。「発端」「戦場」「怨言」「自害」の四つの巻に分かれ、戦場の雪の朝の伯父と甥の再会や、許婚の恨み言など、義理と恋のはざまで揺れる人びとが描かれる。本書は博文館『紅葉全集』(1912年。初版は1904年)に収める本文を、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正したもので、青空文庫には無い。ルビは底本のものを可能な限り残した。

あらすじ

乱世の山奥の庵。夫を亡くして尼になった若い女・若葉が一人で暮らすところへ、旅の尼が道に迷って宿を乞う。若葉は快く迎え入れ、二人は一つの紙帳の中で眠る。夜、旅の尼は紙帳に貼られた反古に目をとめる。それは出陣を前にした武士が妻の若葉に宛てた書置で、討死を覚悟のうえで、出家せず他の縁に嫁ぐようにと妻に言い残す文面だった。書置の名を聞かれた若葉は、かつて自分がそう呼ばれたことを認め、討死した夫と、その夫に添えた短い日々を語る。若葉の身の上に心を寄せた旅の尼は、自分の身の上を語りはじめる。旅の尼の名は芳野。幼いころから許婚だった浦松小四郎守真は、主君の仰せで侍女の若葉と祝言を挙げさせられたのち、敵と味方に分かれた伯父の遠山左近之助武重の陣に、傷を負って出会う。雪の戦場で伯父に止められ、館に運ばれた守真を、芳野は看病しながら恨みを訴える。やがて守真は主家の敗北を知り、ある夜、自ら腹を切る。語りの終わりに、庵の二人はそれぞれの話に出てくる男が同じ人であると気づく。

登場人物

冒頭部(原文より)

蕭寂はそも如何ならん。片山里の時雨あと。晨より夕まで。昨日も今日も風の烈く。あるほどの木々の葉――峯の松のみ残して――大方吹落しぬれば。山は面瘠せて哀に。森は骨立ちて凄じ。

「二人比丘尼色懺悔」尾崎紅葉(青空文庫)

末尾部(原文より)

こは/\とばかり呆れ果てて。互に顔。板戸洩る日影白く。紙帳に騒ぐ風寒し。ほの/\と明くる一夜。

「二人比丘尼色懺悔」尾崎紅葉(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:博文館『紅葉全集』第一巻(1912年。初版は1904年)所収の「二人比丘尼色懺悔」。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、本文だけを収録した(柱・扉・挿絵は省いた)。ルビは底本のものを可能な限り残した。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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