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むき玉子(尾崎紅葉)のあらすじ・登場人物

裸体画の模型になった貧しい娘の恋

  • 恋愛
  • 風刺

尾崎紅葉 1891年(明治24年)1月 「読売新聞」

文字数
43,899字
読了目安
約1時間28分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

尾崎紅葉が雅俗折衷の文体で書いた中編小説。1891年(明治24年)1月11日から3月21日まで読売新聞に全35回で連載され、1892年(明治25年)2月20日に春陽堂から、「おぼろ舟」とともに『二人女』に収めて刊行された。パリで修業した若い洋画家・大久保蘭谿は、人に見せずに画を描き溜めては破り捨てる完璧主義者。ある日、偶然のぞいた行水の女の姿に「これぞ理想の絵」と霊感を受け、裸体画の傑作を描こうと決意する。ところが日本には裸体の模型になる女がおらず、弟子の蘭山が見つけてきたのは、浅草三筋町の貧しい家の十八歳の娘・お喜代だった。親を救うため羞恥をこらえて引き受けた喜代と、一点の邪気もない画家とのあいだに、やがて思いがけない情が育っていく。前篇(全二十章)と後篇(全十四章)に分かれる。博文館『紅葉全集』第二巻(1912年。初版は1904年)に収める本文を、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正したもので、青空文庫には無い。ルビは底本のものを可能な限り残した。

あらすじ

小梅に住む洋画家・大久保蘭谿は、パリで六年修業して帰国後四年、描いては破り捨てるばかりで一枚も世に出さない。来春の共進会に向けた図案が浮かばず悩んだ末、上野から小梅へ帰る道すがら、垣根越しに池のほとりで行水する若い女を見て、これぞ理想の構図と心をつかまれる。忍びこんで姿勢を確かめるうち、下女に見つかって転げ逃げ、耳に怪我をして帰るが、記憶をたよりに下画を仕上げる。しかし体の線が気に入らず、描き直すほど拙くなり、ついに画布を引き裂いて「蘭谿未熟なり」と嘆く。弟子の蘭山は、裸体の模型になる女を探してくると請け合い、浅草三筋町の親友の下宿のあたりで評判の美人・お喜代に目をつける。喜代は十八歳で、堅い両親のもと貧しく暮らしており、今月は一家の命も危うい。両親は迷うが、妾奉公や芸者に出すよりはと娘に打ち明け、喜代は羞恥と恐れを抑えて引き受け、小梅の蘭谿のもとへ向かう。蘭谿は思いがけず温和な美男で、雇い主として申し分なかったが、いざ裸になる日が迫ると、喜代は怖くなって家へ逃げ帰る。ところが両親には言い出せず、蘭山に連れ戻されて蘭谿に会うと、叱られるどころか優しく迎えられる。その後ようやく覚悟を決めた喜代は行水の姿勢をとり、蘭谿は一気に絵を描きあげる。後篇では、喜代はその家での暮らしに馴染み、主人への敬慕を深めていく。蘭谿の「裸美人」は共進会で大評判となり、金牌を得る。ところが、会場へ通いつめた華族の老公が喜代を見染め、妾に望んだことから、屋敷の使いや喜代の母親までが小梅を訪ねてくる。

登場人物

冒頭部(原文より)

大久保蘭谿とて斯道に熱心の画工あり。二十三歳にして仏蘭西巴里へ渡り、名工二三の門に歴遊して六年間の修業を積み、帰朝後四年に及べど鍛錬の手腕を秘して未だ售らず。

「むき玉子」尾崎紅葉(青空文庫)

末尾部(原文より)

女子の淑徳を汚すは忍びずとて、此日仮ながら式を挙げて、蘭谿喜代を正室と定め、明る朝早く手を攜へて日光へ夫婦連の初旅。

「むき玉子」尾崎紅葉(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:博文館『紅葉全集』第二巻(1912年。初版は1904年)所収の「むき玉子」。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、本文だけを収録した(柱・扉・挿絵は省いた)。ルビは底本のものを可能な限り残した。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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