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二人女房(尾崎紅葉)のあらすじ・登場人物

姉妹の縁談と、姑・小姑という難所

  • 家族
  • 恋愛
  • 風刺

尾崎紅葉 1891年(明治24年)

文字数
72,212字
読了目安
約2時間24分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

尾崎紅葉が1891年(明治24年)に発表した中編小説。紅葉が初めて言文一致体を試みた作品とされ、のちの『隣の女』『紫』『多情多恨』へ続く試みの出発点にあたる。地の文は句点で細かく区切る独特の調子で、会話は口語で軽快に運ぶ。貧しい士族の家の姉妹、器量よしのお銀と口数の少ないお鉄を軸に、嫁入りをめぐる親の欲と娘の迷いをユーモラスに描く。上・中・下の三巻、全二十二章。中巻の一章では、姑と小姑という「嫁の苦労」を戯文まじりに論じて見せ、明治の家族と縁談のありさまを笑いを交えてのぞかせる。

あらすじ

士族・丸橋新八郎の娘は、十九歳で器量よしの姉お銀と、二つ年下で口数の少ない妹お鉄。二人は旧主の桐村家に手伝いに呼ばれ、若様の卒業祝宴でお銀が酌に立つと、居合わせた会計課長の渋谷周三がその美貌に目をとめる。三十六歳の渋谷は金鎖と指環で身を固めた、眼光の鋭い大柄な男で、部下の山口昇を仲人に縁談を申し入れる。月給百円の奏任官で、屋敷も構え、気がかりは六十五歳の母堂ひとりだけという良縁に、父は大乗り気。ただ母は、お銀が初婚なのに相手が二度目であることがどうにも引っかかり、お銀自身も男振りと「二度目」のあいだで揺れながら、行く末を思って承知する。

結納の支度金に両親は舞い上がり、近所の妬みも耳に入るなか、お銀は渋谷家へ嫁ぐ。はじめの半月は旦那にも隠居にも大切にされ、衣装がそろわず訪ねにくい母と妹を、お銀が菓子や着物で慰めるほどの暮らしだった。ところが母が度々顔を出すうち、気難しい隠居の機嫌が悪くなってゆく。そこへ熊本から、周三の妹で小姑のお滋が夫の城井中尉とともに上京し、借家探しを口実に長く居座る。隠居はお滋を味方にお銀を憎み、お滋が三十円の借金を申し入れて周三に断られると、母子は城井の家へ引き払い、親類まで巻き込んだ騒動になる。一方、お鉄にも縁談が三つ持ち込まれる。父は官員、母は商人を推すが、お鉄が望んだのは幼なじみの堅実な鉄砲鍛冶・石黒信之。見合いと結納を経て、雨の日にお鉄は嫁ぐ。やがて官制改革で周三は職を失い、隠居への仕送りが月十円から六円に減ると、城井は隠居を持て余し、隠居は結局お銀の世話になる道を選ぶ。貧しくなった渋谷家には、かえって和やかな日が戻る。お鉄に懐妊の噂が立つなか、渋谷のお銀からも思わせぶりな便りが届き、物語は幕を閉じる。

登場人物

冒頭部(原文より)

芝露月町の藤の湯とある長暖簾を推分けて。(浅くとも清き流の杜若)と。出端のありさうに顕れたる女子二人。

「二人女房」尾崎紅葉(青空文庫)

末尾部(原文より)

果せる哉。渋谷内よりの文。何を知らせて来たか。皆々/\様御推もじ被下度候。

「二人女房」尾崎紅葉(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:博文館『紅葉全集』第一巻(1912年。初版は1904年)所収の「二人女房」。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、本文だけを収録した(柱・扉・挿絵は省いた)。ルビは底本のものを可能な限り残した。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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