落窪物語(作者不詳)のあらすじ・登場人物
いじめられた姫君を少将が救う
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- 古典
- 文字数
- 103,436字
- 読了目安
- 約3時間27分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 京都府
この作品について
平安時代中期、10世紀末ごろに成立したとされる物語。作者はわかっていない。四巻からなる。中納言の継娘でありながら、継母に邸の落ちくぼんだ部屋に住まわされ、針仕事をさせられる姫君(落窪の君)を、貴公子の少将が救い出し、結ばれて継母に報いるという、継子いじめの物語の代表作。笑いをまじえた写実的な筆致や、侍女の阿漕や帯刀といった身分の低い人々の活躍も見どころで、『源氏物語』の「継子いじめ」の場面を考えるうえでも読まれてきた。本書は国文大観(物語部「雑上」、丸岡桂・松下大三郎共編、板倉屋書房、1903年)に収める原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正し、収録した。
あらすじ
中納言の邸で、亡き母のあとの姫君が、継母の北の方に「落窪の君」と呼ばれ、寝殿のはなれの落ちくぼんだ間に住まわされて、一族の衣を縫う日々を送っている。仕えるのは侍女の阿漕ひとりである。阿漕の恋人の帯刀を通じて姫君の境遇を知った右近の少将(男君)は、姫君のもとへ通い、やがて契る。継母は姫君を典薬の助という老人にあてがおうとして閉じ込めるが、男君は姫君を邸から連れ出して二条の邸に迎え、手厚く扱う。男君は継母方にさまざまな仕返しをしかけ、のちには継母の一家が窮地に立つが、姫君の心にしたがって一家は救われ、和解がなる。姫君は幸せな家庭を築き、男君は昇進して大臣に至り、子や孫にも恵まれる。
登場人物
- 落窪の君 中納言の娘だが、継母に邸の落ちくぼんだ部屋に住まわされ、針仕事をさせられる
- 右近の少将(男君) 落窪の君の噂を聞いて通い、救い出して妻とする
- 阿漕 落窪の君に仕える侍女。姫君を守って働く
- 帯刀 阿漕の恋人で、男君に仕える。姫君の境遇を男君に伝える
- 北の方 落窪の君の継母。姫君につらく当たる
- 典薬の助 継母が姫君にあてがおうとする老人
冒頭部(原文より)
今はむかし、中納言なる人のむすめあまたもたまへるおはしき。大君、中の君には聟どりして、西の対、ひんがしの対に華々としてすませ奉り給ふ。
「落窪物語」作者不詳(青空文庫)
末尾部(原文より)
女御のけいしに和泉の守なりて、御徳いみじう見ければ、むかしの阿漕は、今はないしのすけになるべし。ないしのすけは二百まで生けりとや。
「落窪物語」作者不詳(青空文庫)
名文
今はむかし、中納言なる人のむすめあまたもたまへるおはしき。
『落窪物語』の書き出し。多くの娘を持つ中納言の家から、継母にいじめられ床の落ちくぼんだ部屋に住まわされる姫君の物語が始まる。日本の継子いじめの物語の早い例として知られる。
原文を読む
原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:丸岡桂・松下大三郎 共編「國文大觀 物語部 雜上」(板倉屋書房、1903年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、落窪物語の本文だけを収録した(異本の注記・傍注は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。