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夕霧阿波鳴渡(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

病む太夫と勘当の若旦那

  • 恋愛
  • 家族
  • 古典

近松門左衛門 1712年

文字数
15,939字
読了目安
約32分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 大阪府

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。1712年(正徳2年)春に大坂・竹本座で初演されたとされる世話物で、上・中・下の三巻から成る。大坂・新町の遊女、扇屋の太夫・夕霧と、勘当された若旦那・藤屋伊左衛門の恋を描く。夕霧は実在の名妓で、延宝6年(1678)正月に亡くなったと伝わり、作中の年も延宝6年に置かれている。夕霧は、伊左衛門との間に生まれた子の源之介を、阿波の侍・平岡左近の子と偽って預けていた。上之巻では、紙子姿で吉田屋を訪ねた伊左衛門が、夕霧の座敷にいる阿波の侍に腹を立てて拗ねる。上之巻の吉田屋の場面は、後に歌舞伎「廓文章」へ作り替えられた。本書は「近代日本文学大系」第6巻(国民図書、1927年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【上之巻】年の暮れ、大坂・新町では吉田屋で餅搗が行われている。病の太夫・夕霧は、去年まで伊左衛門と二人で祝ってきた嘉例の日に、吉田屋へやって来る。そこへ勘当された藤屋の伊左衛門が、紙子の姿で現れ、主人の喜左衛門に迎えられる。奥座敷には阿波の侍が来ていて、夕霧を呼び、足を夕霧の裲襠に入れる。夕霧は怒って席を立ち、隣の座敷で寝たふりをする伊左衛門にすがって泣く。伊左衛門は冷たくあしらうが、やがて夕霧の涙に折れる。そこへ頭巾を取った侍は、実は阿波の大尽・平岡左近の妻のお雪だった。お雪は、夕霧が伊左衛門との間に産んだ子の源之介を、左近の子として育てていると明かす。夕霧を乳母に迎えると約束して、二人は別れる。【中之巻】延宝6年の正月、左近とお雪は上本町の借り座敷で年を迎える。七つの源之介は馬に乗って遊び、腰元たちはお雪に夕霧の悪口を吹き込む。吉田屋の喜左衛門が夕霧を連れて来ると、お雪は夕霧を迎える。伊左衛門も駕籠かきの姿で来て、親子は名乗り合うが、左近は怒って源之介を取り戻し、二人を追い出す。源之介は玄関で泣き叫び、夕霧は子に、母は夕霧、父は藤屋伊左衛門だと明かして、吉田屋に連れ帰される。【下之巻】扇屋の夕霧は、医者に見放されるほど重く病んでいる。伊左衛門と源之介は、夕霧の枕もとへ通される。夕霧は、親子の前で髪を切って仏の形になり、夫婦の手向けの水を受ける。そこへ吉田屋が、お雪からの八百両と、伊左衛門の母・妙順からの二千両を持って来る。扇屋の了空は、その金を夕霧に渡し、追善や遺言に使うようにと言って、暇を出す。夕霧は礼を述べるが、妙順が現れて夕霧を嫁と呼び、家へ迎えて養生させると言う。夕霧は気を取り直し、めでたく本復する。

登場人物

冒頭部(原文より)

年の内に春は来にけり。一臼に餅花開く餅搗の、にぎ/\はしや九軒町、嘉例の日取よし田屋の、庭の竈は難波津の、歌の心よ蒸籠の湯気の大杵。

「夕霧阿波鳴渡」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

又五十年又百年、千歳の秋の夕霧を、なほ万代の春の花、見る人袖をぞつらねける。

「夕霧阿波鳴渡」近松門左衛門(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第6巻 近松門左衛門集 上(国民図書、1927年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節の指定・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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