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堀川波鼓(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

一夜の過ちが妻敵討ちになる

  • 心理
  • 家族
  • 古典

近松門左衛門 

文字数
16,120字
読了目安
約32分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 鳥取県
  • 京都府

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。大坂・竹本座で初演された世話物(初演年は資料により分かれる)で、上・中・下の三巻から成る。因幡国鳥取藩の侍の妻の過ちと、その妻敵(めがたき)をめぐる物語。江戸詰が続く夫・小倉彦九郎に代わって家を守る妻・お種は、息子の文六が習う鼓の師匠・宮地源右衞門と、酒に酔った勢いで過ちを犯す。その夜、お種に言い寄って拒まれた同僚の磯部床右衞門が二人の現場を押さえ、事は藩中の噂になる。貞節をめぐる武家の掟と、一度の過ちが家族を壊していく悲しさが主題で、話は当時の実際の事件に取材したと伝えられる。本書は「近代日本文学大系」第6巻(国民図書、1927年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【上之巻】因幡国鳥取藩士・小倉彦九郎の妻お種は、夫が江戸詰で留守のあいだ、里帰り中の妹お藤と洗い張りをしながら、帰らぬ夫を思い、庭の松に夫の姿を重ねて戯れている。息子の文六は、京都から出稽古に来る鼓の師匠・宮地源右衛門に習っていて、お種は師匠をもてなす。酒好きのお種は、勧められるままに杯を重ねる。夜、同じ藩の磯部床右衛門が忍び込み、お種に迫る。お種は侍の妻の道を説いて拒み、懲らしめようと明日の晩に来るよう偽って帰らせる。襖の向こうで源右衞門が鼓を打って謡い、床右衞門は逃げ去る。話を聞かれたことを気に病むお種は、源右衞門と酒を飲み交わすうち、思いがけず過ちを犯してしまう。そこへ父の忠太夫が帰り、床右衞門が戻ってきて二人の袂を押さえる。源右衞門は袂を切り捨てて逃げ、床右衞門は下女を相手と間違えて退散する。【中之巻】彦九郎は江戸詰の勤めを終え、加増を受けて帰国する。お種は夫への思いと罪の意識に苦しむ。妹お藤は、姉の過ちが露見する前に姉を離縁させようと、彦九郎に艶書を送るが、これが裏目に出て、お種はお藤を打ち据える。お藤は、姉と源右衞門の仲は世間に知れ渡り、すべては姉の名を守るためだったと打ち明ける。お種は酒と愚かさを恥じて泣く。折しも彦九郎の妹ゆらが、夫の政山三五平から離縁を言い渡されたと駆けつけ、お種の不義を告げる。床右衞門が取った二人の袂も証拠として示される。覚悟を決めたお種は持仏堂で九寸五分を腹に突き立て、彦九郎はとどめを刺す。彦九郎は藩に妻敵討ちを願い出ると言い、京へ向かう。文六、お藤、ゆらは同行を願い、ついに許される。【下之巻】六月七日、祇園会の朝。京都の堀川で、四人は源右衞門の住居を探り、祭の賑わいに紛れて討つ機会をうかがう。彦九郎は托鉢の僧に衣を替えさせて身にまとい、物陰から様子をうかがう。三條室町で喧嘩だと偽って源右衞門の下人たちを追い払うと、四人は屋内に押し入る。源右衞門と女房が応戦するが、彦九郎は源右衞門を大道へ追い出し、橋の上で討ち取る。町の人々は、文六、お藤、ゆらを含む四人の敵討ちを称えた。

登場人物

冒頭部(原文より)

さても行平三歳が程、御徒然の御舟遊び、月に心はすまの浦、夜潮を運ぶ海士少女に、姊妹選ばれ参らせつゝ、折にふれたる名なれやとて、松風村雨と召されしより、月にも馴るゝ須磨の海士の、塩焼衣色かへて、かとりの衣のそらだきなり。

「堀川波鼓」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

見事さ立派さ心地よさ、世上にばつと囃し立て、いひ渡したる山鉾の、ちやんぎりしつきり切つたりや、討つたり敵妻敵討、話のとほり真直に、いへば言はるゝ、舌三寸の、操の御評判とぞなりにける。

「堀川波鼓」近松門左衛門(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第6巻 近松門左衛門集 上(国民図書、1927年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節の指定・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。底本で開き括弧が欠けている箇所は底本のままとした。

底本の画像を見る

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