とりかへばや物語(作者不詳)のあらすじ・登場人物
取り替えて育てた姫君と若君
- 恋愛
- 幻想
- 心理
- 古典
- 文字数
- 125,300字
- 読了目安
- 約4時間11分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 京都府
- 奈良県
この作品について
平安時代末期から鎌倉時代初期、12世紀末ごろに成立したとされる物語。作者はわかっていない。いま読まれている本は、それ以前にあった「古とりかへばや」を改作した「今とりかへばや」とされ、四巻からなる。権大納言の二人の子は、姫君は男のように、若君は女のように生まれついたため、父はそれぞれ男と女として育て、世に出す。男として仕える姫君と、女として宮中に入る若君が、のちに本来の姿へもどるまでを、恋と苦悩、出奔と再会を重ねて描く。性別を取り替えた兄妹という設定は、後世の物語や現代の創作にも影響を与えた。本書は国文大観(物語部「雑上」、丸岡桂・松下大三郎共編、板倉屋書房、1903年)に収める原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正し、収録した。
あらすじ
権大納言には、二人の子が生まれる。姫君は男のように、若君は女のようにおとなしく生まれつき、父は嘆きながらも、姫君を男として、若君を女として育てる。姫君は元服して宰相中将と名のり、右大臣の四の君と結婚するが、友人に女であることを知られて、思いがけず身ごもってしまう。苦しんだ中将は都を離れ、吉野の宮のもとに身を寄せる。一方、女として宮中に出仕した若君は、尚侍となって帝に愛され、やがて男の姿に戻る日を待つ。物語の終わりで、二人はそれぞれ本来の姿にもどり、人の世のしきたりと情を知りつくした末に、栄えた暮らしを築く。
登場人物
- 姫君(宰相中将) 権大納言の子。男のように生まれつき、男として育てられて出仕する
- 若君(尚侍) 権大納言の子。女のようにおとなしく、女として宮中に仕える
- 権大納言 二人の父。子の姿を嘆き、取り替えて育てる
- 右大臣の四の君 宰相中将の妻
- 吉野の宮 都を離れた中将が身を寄せる
冒頭部(原文より)
いつの頃にか、権大納言にて大将かけ給へる人、御かたち身のざえ心もちゐよりはじめて、人がら世のおぼえもなべてならず物し給へば、何事かは飽かぬ事あるべき御身ならぬに、人知れぬ御心のうち物おもはしさぞいと尽せざりける。
「とりかへばや物語」作者不詳(青空文庫)
末尾部(原文より)
いかばかりのこゝろにて、これをかく見ず知らず、跡を絶ちて止みなむとおもひはなれけむとおもふに、うくもつらくもこひしくも、ひとかたならずかなしとや。
「とりかへばや物語」作者不詳(青空文庫)
原文を読む
原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:丸岡桂・松下大三郎 共編「國文大觀 物語部 雜上」(板倉屋書房、1903年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、とりかへばや物語の本文だけを収録した(異本の注記・傍注・奥付は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。