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宇治拾遺物語(作者不詳)のあらすじ・登場人物

今は昔、拾い集めた百九十六の話

  • 風刺
  • 歴史
  • 古典

作者不詳 

文字数
172,806字
読了目安
約5時間46分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 京都府

この作品について

鎌倉時代前期、13世紀前半ごろに成立したとされる説話集。編者はわかっていない。序によれば、宇治大納言(源隆国)が書いた『宇治大納言物語』から漏れた話を拾い集めたことが書名の由来という。全15巻、196話。「今は昔」で始まる短い話が、仏教の霊験、貴族や僧の逸話、盗賊や庶民の笑い話、天竺や唐の話などを、順序立てずに並べていく。「こぶとり爺さん」や「わらしべ長者」、「舌切り雀」に通じる話のほか、芥川龍之介が「鼻」「芋粥」の題材にした話も収められている。ありのままの人間の欲や滑稽さを、軽い語り口で描く。本書は藤井乙男の校訂、塚本哲三の編による有朋堂文庫の原文(有朋堂書店、1922年)で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正し、収録した。

あらすじ

全15巻に、196の短い話が入る。冒頭の巻第一では、読経の声を聞きに来た五条の翁(道祖神)の話や、丹波の篠村で平茸が生えすぎた話、鼻の長い僧の話などが並ぶ。巻を追うと、陰陽師の安倍晴明が式神を使う蔵人の少将を救う話、貫之が土佐守の任の果てに、都へ帰る柱に歌を書き残す話、融の大臣の霊が河原院に現れて宇多院に追い払われる話、長谷寺に籠もった貧しい男が、授かった藁しべを物と取り替えて財を得る話、鬼に瘤を取られる翁たちの話、雀が恩を返す話、利仁が薯蕷粥を食べさせる話などが続く。後半には、天竺や唐に取材した説話や、仏の利益で命を救われる人の話、盗人や上人、武士の逸話が収められ、最終話は盗跖と孔子の問答で終わる。どの話も「今は昔」で始まり、短い語りで結ばれる。信心と欲、貴賤の違いをことさらに説かず、人間のおかしさをそのまま見せる。

登場人物

冒頭部(原文より)

今は昔、道命阿闍梨とて、伝殿の子に色にふけりたる僧ありけり。和泉式部に通ひけり。経をめでたく読みけり。それが和泉式部がり行きて臥したりけるに、目覚めて、経を心をすまして読みけるほどに、八巻読みはてて、暁にまどろまんとするほどに、人のけはひのしければ、あれは誰ぞと問ひければ、おのれは五条西洞院の辺に候ふ翁に候ふと答へければ、

「宇治拾遺物語」作者不詳(青空文庫)

末尾部(原文より)

時に孔子又いふべき事覚えずして、座を立ちて急ぎ出でて馬に乗り給ふに、よく憶しけるにや、轡を二度取りはづし、鐙をしきりに蹈みはづす。これを世の人孔子たふれすといふなり。

「宇治拾遺物語」作者不詳(青空文庫)

名文

これも今は昔、右の顔に大なる瘤ある翁ありけり。大かう山へ行きぬ。雨風はしたなくて帰るに及ばで、山の中に心にもあらずとまりぬ、又樵夫もなかりけり。おそろしさすべきかたなし。

「こぶとりじいさん」の原話。右の顔に大きな瘤のある翁が山で一夜を明かす場面から始まる。宇治拾遺物語の説話の語り口が分かる。

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:藤井乙男 校・塚本哲三 編「宇治拾遺物語」(有朋堂文庫、有朋堂書店、1922年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、本文だけを収録した(頭注・ルビ・挿絵・目録・刊記は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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