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国性爺合戦(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

日本の血を引く英雄、明を救う

  • 歴史
  • 冒険
  • 古典

近松門左衛門 1715年11月

文字数
34,250字
読了目安
約1時間8分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 長崎県

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。1715年(正徳5年)11月に大坂・竹本座で初演され、17か月のロングランとなった時代物で、全五段から成る。明朝の滅亡と復興を描き、実在の鄭成功(国姓爺)をモデルにしている。日本人の母と中国人の父のあいだに生まれた和藤内は、平戸から海を渡り、虎を従えて千里が竹の山を越え、国性爺と名乗って韃靼軍と戦う。そこには、先帝の太子を守る忠臣・呉三桂、甘輝の妻で和藤内の異母姉にあたる錦祥女、国を乱す奸臣・李蹈天らが絡み合う。海外を舞台にした壮大な筋と、虎退治や道行などの見せ場を一つにまとめている。のちに歌舞伎にも移され、近松の最大のヒット作として今日まで上演されている。本書は帝国文庫「近松時代浄瑠璃」(博文館、1896年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【第一】明の十七代・思宗烈皇帝のもと、宮中は栄えていた。そこへ北方の韃靼国から使者が来て、皇帝の妹・栴檀皇女を王の妃に迎えたいと申し入れる。重臣の李蹈天は、裏で韃靼と通じて国を奪おうとたくらんでおり、朝廷は乱れる。李蹈天の謀反によって宮中は襲われ、皇帝の一族は追われる身となる。忠臣の呉三桂は、妻の柳歌君らとともに太子を連れて、落ち延びる。【第二】日本の平戸に、中国人の老一官と日本人の妻のあいだに生まれた和藤内が暮らしている。中国から流れ着いた栴檀皇女を助けた和藤内は、明を救うために、父母と妻を連れて海を渡る。千里が竹の山で、和藤内は人を襲う虎に出会い、神仏の護符の力でそれを従える。【第三】和藤内は、獅子が城の将軍・甘輝を味方につけようとする。甘輝の妻・錦祥女は、老一官が中国に残していった娘で、和藤内の異母姉にあたる。錦祥女は、夫の心を動かすために、自ら命を絶つ。甘輝は味方につくことを誓い、和藤内は国性爺と名乗る。【第四】呉三桂は、太子を連れて山から山へ身を隠し、二年のあいだ育てている。江寧府の九仙山に上ったところへ、韃靼の大将・貝勒王の軍が攻め寄せる。呉三桂は、碁盤を投げて敵を打ち砕き、福州の城に入って国性爺らと合流する。【第五】国性爺は五十余城を攻め落として勢いを増し、太子は永暦皇帝と号して位につく。国性爺、甘輝、呉三桂は力を合わせて、国を乱した李蹈天を討ち取る。明は復興し、国中が万歳を唱えて、幕が下りる。

登場人物

冒頭部(原文より)

華飛び蝶駭けども人愁へず。水殿雲廊別に春を置く。暁日粧ひなす千騎の女。紅唇翠黛色を交へ。土も蘭麝の梅が香や。桃も桜も長へに。

「国性爺合戦」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

うんと引抜き捨て。永暦皇帝御代万歳。国安全と寿くも。大日本の君が代の。神徳武徳盛徳の。満て尽きせぬ国繁昌。民繁昌の恵によつて。五穀豊饒に打続き。万々年とぞ祝ひける。

「国性爺合戦」近松門左衛門(青空文庫)

名文

今鴫蛤の争ひによつて軍法の奥義一時に悟り開けたり。蛤は貝の堅きを頼んで鴫の来るを知らず。鴫は嘴の鋭に誇つて蛤の口を閉るを知らず。

近松『国性爺合戦』で、和藤内が浜辺で鴫と蛤の争いを見て軍法の奥義を悟る場面。漁夫の利の故事を劇的に仕立てた名場面。

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:饗庭篁村 校訂「近松時代浄瑠璃」所収(博文館・帝国文庫、1896年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・柱・曲節の指定・解題は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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