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死剣と生縄(江見水蔭)のあらすじ・登場人物

縄の女親分から逃げる剣士

  • 歴史
  • 冒険

江見水蔭 1925年(大正14年)11月 「講談倶楽部」

文字数
15,113字
読了目安
約30分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 茨城県

この作品について

幕末の江戸、旗本の次男で剣の腕の立つ磯貝竜次郎は、師から奥義を授かる前の武者修行の途上、常陸の阿波村で「生縄のお鉄」と呼ばれる女侠客に囚われ、三月余りを虜同然に過ごす。恩師の重病の夢に急かされて江戸へ向かう道中、竹割り一座の軽業娘・小虎と道連れになり、利根川の渡しで思わぬ難に遭う。捕縄の技、人喰い藻の堀、嫉妬に燃える女親分が絡む、水蔭らしい伝奇的な時代小説。

あらすじ

旗本の次男で剣の腕の立つ磯貝竜次郎は、師の秋岡陣風斎から奥義を授かる前の武者修行で常陸の阿波村を訪れ、女侠客「生縄のお鉄」の家に三月余り囚われの身となる。お鉄は肥満した四十近い大年増で、捕縄の技に長く、夜ごと竜次郎に縄の掛け方と縄抜けの法を教えもするが、嫉妬深い。竜次郎は脱走を試みて縛られるが、恩師が重病になる夢を毎夜見ると真心を訴え、江戸行きを許される。道中、文金高島田に粗末な浴衣姿の軽業師の娘小虎が付いてきて、同じく大師匠の病を夢に見て一座を抜け出したと明かす。新利根川の手繰り渡しで、鰻掻きの悪僧が綱を奪い、綱渡りで船を取りに行った小虎は藤蔓を断たれて人喰い藻の堀へ落ちる。竜次郎は悪僧に小柄を投げて倒し、お鉄に習った縄抜けの要領で藻を切り払って小虎を救うが、岸に置いた衣服と大刀が消えていた。そこへ現れたお鉄が、乾分に網を張らせ、悪僧もその一人だったと明かし、二人に嫉妬をぶつける。竜次郎が阿波へ帰ると言うと、お鉄は喜んで着物を着せ掛けるが、小虎が路傍の小刀を取ってお鉄の脇腹を刺し、江戸までお供しますと言い放つ。後に竜次郎は明治中期の警視庁の名高い老刑事となり、先の妻は小虎で、明治初年に病死したと結ばれる。

登場人物

冒頭部(原文より)

武士の魂。大小の二刀だけは腰に差して、手には何一つ持つ間もなく、草履突掛けるもそこそこに、磯貝竜次郎は裏庭へと立出た。 「如何ような事が有ろうとも、今日こそは思い切って出立致そう」

「死剣と生縄」江見水蔭(青空文庫)

末尾部(原文より)

明治中期まで警視庁第一の捕物老刑事として名の高かった○○○○○氏こそは、この磯貝竜次郎の後身なので有った。其前の妻女は正しく小虎で有ったが、それは明治初年に病死したという。竜次郎が陣風斎から、八方巻雲の秘伝を授かったか如何か。それに就ては遺憾ながら伝わらぬ。

「死剣と生縄」江見水蔭(青空文庫)

原文を読む

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