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丹下左膳 乾雲坤竜の巻(林不忘)のあらすじ・登場人物

離れれば哭く、乾雲坤竜の二刀

  • 歴史
  • 冒険

林不忘 1927年(昭和2年)10月 「東京日日新聞」

文字数
340,213字
読了目安
約11時間20分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

1927年(昭和2年)から翌年にかけて「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」に「新版大岡政談」として連載された、丹下左膳ものの第一作。関の孫六が鍛えた一対の名刀、乾雲丸と坤竜丸。離ればなれになると夜ごと啾々と哭き、必ず血の渦を巻き起こすという。この刀をめぐって、小野塚道場の若き遣い手・諏訪栄三郎、旗本鈴川源十郎、そして隻眼隻腕のニヒルな剣士・丹下左膳が入り乱れる。脇役として登場した左膳の圧倒的な人気により、大衆時代小説の歴史を変えた作品となった。

あらすじ

江戸・根津権現の裏、曙の里で神変夢想流の町道場を開く小野塚鉄斎の家には、関の孫六が鍛えた一対の名刀が伝わっていた。大を乾雲丸、小を坤竜丸という。この二刀は同じ場所にあるうちは無事だが、ひとたび離ればなれになると、丑満どきに啾々とむせび泣き、必ず人の血を見る波瀾を巻き起こすといわれていた。毎年、御玄猪の日に催される道場の大試合では、高点者に乾雲丸、次点者に坤竜丸の佩用が許される。その前夜、鉄斎は一年ぶりに刀を検めながら、娘の弥生に問うた。「そち、栄三郎をどう思う?」——そして、試合の優勝者に乾雲丸と娘を与えるという書き付けをしたためる。だがこの刀に執心する者は、鉄斎の弟子だけではなかった。奥州相馬の刀剣蒐集癖が発端となり、旗本鈴川源十郎の屋敷を舞台に、二刀の争奪は江戸を巻き込む渦となってゆく。その渦の中心に、右の目も右の腕も失った異形の剣士・丹下左膳が立つ。

登場人物

冒頭部(原文より)

夜泣きの刀  しずかに更けてゆく秋の夜。  風が出たらしく、しめきった雨戸に時々カサ! と音がするのは庭の柿の病葉が散りかかるのであろう。その風が隙間を洩れて、行燈の灯をあおるたびに、壁の二つの人影が大入道のようにゆらゆらと揺ぐ――。

「丹下左膳 乾雲坤竜の巻」林不忘(青空文庫)

末尾部(原文より)

 この話し声を、わが身に縁のうすいことのようにボンヤリと聞きながら、お艶がふらふらと橋の欄干に寄ると、世は移り変わり、象はちがっても、我欲をあらわに渦をまく人の浪。  茜いろの夕陽が天地をこめて、お艶の影を、四辻の土に黒く長くななめに倒している。  河岸に灯がはいって……夢のよう。  江戸の祭りは、そのまま夜に入る。

「丹下左膳 乾雲坤竜の巻」林不忘(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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