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春色梅児誉美(為永春水)のあらすじ・登場人物

色と情の梅ごよみ

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為永春水 1832年1月 「書き下ろし」

文字数
85,723字
読了目安
約2時間51分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

江戸時代後期の人情本。為永春水作、柳川重信・重山画。天保3年(1832年)に初編・二編が出て、翌年にかけて四編十二冊で完結した。「春色梅暦」とも書き、人情本の代表作として知られる。江戸の遊里を舞台に、美男の若旦那・丹次郎をめぐって、許嫁のお蝶、芸者の米八・仇吉、遊女の此糸らが、嫉妬と意地、義理と情けのあいだで揺れ動く恋のもつれを、会話を生かした軽やかな文でつづる。どの女も丹次郎を思いながら互いを思いやる情の深さが読者の共感を呼び、続編「春色辰巳園」「春色恵の花」などが次々に書かれた。本書は、国民図書『近代日本文学大系』第20巻(1928年)に収められた本文による原文で、初編から四編までの全二十四齣を収める。国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正し、収録した。

あらすじ

江戸の遊里の唐琴屋に養子に入った丹次郎は、貧苦のうえ病に伏して、裏長屋に身をひそめている。そこへ、芸者の米八が居場所を聞きつけて訪ねてきて、二人の間には変わらぬ情が通う。店の主筋の娘で、幼いころから丹次郎と一緒に育ったお蝶は、丹次郎を夫と心に決めて、そのもとを訪ねる。一方、米八と張り合う芸者の仇吉は、意地とやきもちから何かにつけて米八に突っかかり、藤兵衛、お由、遊女の此糸らも、それぞれの恋と身の上の悩みを抱えて、丹次郎の周りに集まってくる。唐琴屋を取り仕切る後見の鬼兵衛は、主人同然にふるまって奉公人たちを苦しめるが、やがてその正体が盗賊の頭であると知れ、店は傾く。お蝶は丹次郎が家へ帰参する費用をつくろうと、自分の身を売ろうとまでする。騒動が収まると、丹次郎は名跡を立てて身を興し、お蝶は本妻に、米八はお部屋さまとなる。藤兵衛はお由を妻に迎え、此糸は半之丞のもとへ行き、悪人はそれぞれ罪を受けて、四人の女は年の順に姉妹の約束を結び、めでたく幕を閉じる。

登場人物

冒頭部(原文より)

野に捨てた笠に用あり水仙花。それならなくに水仙の、霜除程なる侘住居、柾木の垣も閒原なる、外は田畑の薄冰、心解けあふ裏借家も、住めば都にまさるらん。

「春色梅児誉美」為永春水(青空文庫)

末尾部(原文より)

四人の女子はお由を第一とし、此糸を二ばんとなし、三番目を米八とし、四人目をお蝶とさだめ、歳のじゆんにて内々は、姉妹のやくそくをなし、子宝おほくまうけつゝ、幾代かかをる春の梅、実いりをこゝに寿ぎて、めでたく筆をさめはべりぬ。

「春色梅児誉美」為永春水(青空文庫)

名文

野に捨てた笠に用あり水仙花。それならなくに水仙の、霜除程なる侘住居、

為永春水『春色梅児誉美』の書き出し。七五調の語りで、侘住まいの裏店から人情本の世界が始まる。

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:国民図書株式会社 編「近代日本文学大系 第20巻 為永春水集」(国民図書、1928年)所収の「春色梅児誉美」。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、初編から四編までの本文を収録した(各編の序・跋・目録・広告・ルビ・挿絵は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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