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槍の権三重帷子(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

槍の名手と師匠の妻の濡れ衣

  • 恋愛
  • 心理
  • 古典

近松門左衛門 1717年8月

文字数
21,123字
読了目安
約42分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 大阪府

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。1717年(享保2年)に大坂・竹本座で初演された世話物で、「冥途の飛脚」などと並ぶ近松の世話浄瑠璃のひとつ。同じ年の7月に大坂の高麗橋で起きた妻敵討ちの事件が下敷きといわれる。舞台はある藩の城下に置かれ、松江藩の話を借りたとされる。槍の名手で美男の表小姓・笹野権三は、茶の湯の師匠・浅香市之進が江戸に詰めて留守のあいだに、藩の祝宴で行う「真の台子」の茶事を勤めることになる。権三は伝授を受けておらず、市之進の妻おさゐに頼み、娘お菊との縁組を約束して秘伝の巻物を授かろうとする。ところが、川側伴之丞の妹お雪と権三の仲や、二人が取り交わした帯をめぐって、おさゐと権三は不義の疑いをかけられる。世間の目と武士の面目に追いつめられてゆく人々の悲劇を描く。本書は「近代日本文学大系」第7巻(国民図書、1928年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【上之巻】藩の若殿の祝言を祝う催しで、真の台子の茶事を勤める者が必要になる。茶の湯の師匠・浅香市之進は江戸にいて留守のため、家老は市之進の弟子の中から勤めさせよと命じる。槍の名手で美男の表小姓・笹野権三は、伝授を受けておらず、師匠の妻おさゐに頼む。おさゐは権三を娘お菊の婿にと望み、縁組を約束するなら巻物を渡すと答える。そこへ、権三が契りを結んだ川側伴之丞の妹お雪の乳母が現れ、おさゐは嫉妬にかられる。夜、おさゐから伝授を受けて巻物を読む権三のもとへ、伴之丞が忍び込む。おさゐは嫉妬から権三をなじり、二人は帯をほどいて争う。伴之丞は二人の帯を拾い、不義の証拠にすると叫んで逃げ出す。権三は下人の波介を斬り殺し、おさゐとともに、酒樽に身を隠して家を逃げ出す。【下之巻】二人は道行を重ねて伏見に出る。留守の屋敷では、おさゐの父・忠太兵衛が、嫁入りの時に持たせた道具を門に積み、打ち砕いて燃やさせる。帰国した市之進は、おさゐの弟・甚平とともに二人を追う。甚平は伴之丞を探し出して首を取る。伏見から大坂の京橋へ出た権三とおさゐは、乗合船を探すうちに甚平に見つかる。橋の上で権三は市之進と斬り合って討たれ、おさゐも市之進の刃を受け、物語は終わる。

登場人物

冒頭部(原文より)

君八千代国は治まる御留守にも、弓馬嗜む梓弓、馬の庭乗遠乗と、遥かに出でし浜の宮、鳥居通の流鏑馬馬場、並木に落つる風の音、とゞろ/\と打つ波も、乗り分けつべき器量こそ、表小姓の数々の、中にも笹野権三とて、武芸のほまれ世の人に、槍の権三はだて者の、どうでも権三は好い男、謡ひはやらす美男草。

「槍の権三重帷子」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

槍の権三が古身の槍、疵も古疵咄も古し、歌も昔の古歌なれど、谷の笹原一夜さ咄、其の槍の柄も永き世の、御評判とぞなりにける。

「槍の権三重帷子」近松門左衛門(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第7巻 近松門左衛門集 下(国民図書、1928年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節の指定・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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