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心中宵庚申(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

庚申の夜、夫婦は生玉へ

  • 恋愛
  • 家族
  • 古典

近松門左衛門 1722年4月

文字数
19,818字
読了目安
約40分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 静岡県
  • 京都府
  • 大阪府

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。1722年(享保7年)4月に大坂・竹本座で初演された世話物で、上・中・下の三巻から成る。前年の4月、庚申待の夜に、大坂・新靫町の八百屋の養子の半兵衛と妻のお千代が、生玉の馬場先で心中した事件を題材にしている。半兵衛は、遠州浜松の武士の子に生まれ、五歳で大坂の八百屋の養子になった男で、いまは武士の魂を胸に、商人として暮らしている。養母は、嫁のお千代をひどく嫌い、半兵衛の留守に実家へ追い返してしまう。半兵衛は、千代を去らずに通したいが、養母の機嫌にも背けない。母への孝行と妻への愛情のはざまで、ふたりは死ぬことを決め、庚申の夜に生玉の勧進所へ向かう。上之巻は半兵衛の故郷・浜松が舞台で、料理の機転と、弟をめぐる若侍たちとのやりとりを、半ば滑稽に描く。下之巻の道行は、近松の世話物のなかでも名高い。本書は「近代日本文学大系」第7巻(国民図書、1928年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【上之巻】遠州浜松の城下。殿のお鷹野の帰りの御成を控えて、弓頭の坂部郷左衛門の屋敷は大忙し。郷左衛門が頼んだ料理人は、大坂の八百屋半兵衛。半兵衛は、同じ藩の山脇三左衛門の子で、五歳で大坂へ出て八百屋の養子になった男、小姓の山脇小七郎の兄にあたる。殿は倹約を好むのに、半兵衛が出した献立は三汁九菜。郷左衛門は怒るが、半兵衛は、貴人には珍しい物を見せないのが料理の習いと、五尺の山の芋を持ち出して笑いに変え、御成はなごやかに終わる。その後、同輩の金田甚蔵、岡軍右衛門、大橋逸平が小七郎に思いを寄せて、兄の半兵衛に取りなしを迫る。半兵衛は、刀を並べて弟の前に置き、三人に念者になれと詰め寄って退け、下男の小一兵衛を弟の念者に取り立てて収める。【中之巻】山城国の上田村。大百姓の島田平右衛門は病んでいる。姉のお軽が看病するところへ、大坂の八百屋の嫁になった妹のお千代が、姑に追い出されて戻ってくる。姉は事を父に隠して慰める。そこへ、親の十七年忌の墓参りで浜松へ行っていた夫の半兵衛が帰ってくる。半兵衛は、離縁などしないと脇差を抜いて誓う。平右衛門は、自害はならぬと叱って夫婦を連れ戻りの道へ送り出し、別れの水の杯を交わして、門火を焚く。【下之巻】大坂・新靫町の八百屋に戻った二人。養母は、甥の太兵衛に家を継がせたく、千代を憎み続けている。半兵衛は、母の面目を立てるふりをして、千代を離縁すると言い、門口から追い出す。五日、庚申待の夜、二人は人目を忍んで、生玉の大仏勧進所へ向かう。千代は五月の身重で、腹の子を思って泣く。半兵衛は千代を手にかけ、続いて我が身も腹を切って、二首の辞世を残す。朝になって、門番が二つの亡骸を見つけ、心中だと叫ぶ。

登場人物

冒頭部(原文より)

花のお江戸へ六十里、梅の難波へ六十里、百二十里の閒の宿、都離れて遠江、浜松の一城主浅山殿の御在国、町家々々の賑ひ商ひに弛みなく、武士は弓馬に怠らず

「心中宵庚申」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

返す刃に吹搔き切り、此の世の縁切る息引き切る、晨朝過ぎの勧進所、目すりすり門番が、見付けて、「心中ヤレ心中、死んだ/\。」と呼ばはる声、吹き伝へたる浜松風、枝をならさぬ君が世に、類稀なる死姿、語りて感ずる許りなり。

「心中宵庚申」近松門左衛門(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第7巻 近松門左衛門集 下(国民図書、1928年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節の指定・道行の小見出し・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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