アプリで読む

無料・登録不要

世之助の話(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

女護ヶ島へ渡る前の話

  • 恋愛
  • 風刺

芥川龍之介 1918年(大正7年)4月 「新小説」

文字数
6,485字
読了目安
約13分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

芥川龍之介の短編。井原西鶴『好色一代男』の主人公・世之助が、女護ヶ島へ渡る前の名残りの酒宴で、友人から女性遍歴の数を尋ねられて答える形の作品。「上」「中」「下」の三部からなり、中では世之助が隅田川の渡し舟での出来事を語る。世之助の「算盤のとり方」をめぐる、題材を借りた語りで、末尾に大正6年4月の日付がある。

あらすじ

女護ヶ島へ旅立つ前夜の宴で、友人が世之助に、西鶴の書いた「三千七百四十二人の女に戯れた」という数が本当かと問う。世之助は、自分の算盤のとり方は友人のものと少し違うだけだと言い、昔の話をする。三十年ほど前に初めて江戸へ下った時、吉原の帰りの角田川の渡しで、船に乗り合わせた町家の女房に伽羅の油の匂いを感じ、膝が触れ合う。世之助はその女を「鑑賞」し、感覚のすべてで味わい尽くしたと思う。桟橋で手を取った時には強い刺激を予想したが、結局それまでの経験の繰り返しにすぎないと気づいて索漠とする。こうして、そのような接触もすべて関係のうちに数えて、合計四千四百六十七人になったのだと答える。友人は納得し、世之助は泡沫夢幻と笑う。

登場人物

冒頭部(原文より)

友だち 処でね、一つ承りたい事があるんだが。 世之助 何だい。馬鹿に改まつて。 友だち それがさ。今日はふだんとちがつて、君が近々に伊豆の何とか云ふ港から船を出して、女護ヶ島へ渡らうと云ふ、その名残りの酒宴だらう。 世之助 さうさ。 友だち だから、こんな事を云ひ出すのは、何だか一座の興を殺ぐやうな気がして、太夫の手前も、聊恐縮なんだがね。

「世之助の話」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

友だち だが、物騒な話ぢやないか。さうなると、女房や娘はうつかり外へも出されない訳だからね。 世之助 物騒でも、それがほんたうなのだから、仕方がない。 友だち して見ると、今にお上から、男女同席御法度の御布令でも出かねなからう。 世之助 この頃のやうぢや、その中に出るかも知れないね。が、出る時分には、私はもう女護ヶ島へ行つてゐる。 友だち 羨せるぜ。 世之助 なに女護ヶ島へ行つたつて、ここにゐたつて、大してかはりはしない。 友だち 今の算盤のとり方にすれば、さうだらう。 世之助 どうせ何でも泡沫夢幻だからね。さあ改めて、加賀節でも承らう。

「世之助の話」芥川龍之介(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品