ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
ばけもの世界の裁判長になった少年
- 幻想
- 風刺
- 文字数
- 26,826字
- 読了目安
- 約54分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
飢饉で両親を失い、妹を人買いにさらわれたばけものの子ネネムが、修行の末に「世界裁判長」の地位にまで上りつめる——宮沢賢治が若い日に書いた長編童話。のちの「グスコーブドリの伝記」の原型とされる、奇想と諧謔にみちた未定稿である。
あらすじ
ばけもの世界を襲った大飢饉。ネネムの父は森へ、母は野原へ食べものを探しに出たきり帰らず、二人は「ばけもの世界の天国」に行ってしまった。残された幼いネネムと妹マミミのもとに現れた目の鋭い男は、食べものと引きかえのようにマミミを籠に入れて連れ去ってしまう。妹を探して森をさまよい倒れたネネムは、「昆布取り」と称する怪しい紳士に雇われ、見えない昆布を採る奇妙な労働に就く。やがてその生活を抜け出したネネムは、学問に打ち込んで世界一の秀才となり、ついにばけもの世界の最高位「世界裁判長」に任ぜられる。ばけものが人間世界に姿を現す「出現」を裁く役目である。裁判長として辣腕をふるい、部下たちに讃えられて踊り狂ったある日、ネネムの足がわずかに「悪い方」へそれた。気がつけばそこはネパールからチベットへ入る峠の頂、目の前には西蔵の魔除けの幡がはためいている。自分こそが出現してしまったのだ——。「僕は今日は自分を裁判しなければならない」と告げるところで原稿は途切れる。賢治の初期長編で、後年の「グスコーブドリの伝記」へ受け継がれてゆく骨格がすでに姿を見せている。
冒頭部(原文より)
一、ペンネンネンネンネン・ネネムの独立 〔冒頭原稿数枚焼失〕のでした。実際、東のそらは、お「キレ」さまの出る前に、琥珀色のビールで一杯になるのでした。ところが、そのまま夏になりましたが、ばけものたちはみんな騒ぎはじめました。
「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
「ああ、ありがとう。もうどうもない。しかしとうとう僕は出現してしまった。 僕は今日は自分を裁判しなければならない。 ああ僕は辞職しよう。それからあしたから百日、ばけものの大学校の掃除をしよう。ああ、何もかにもおしまいだ。」 ネネムは思わず泣きました。三十人の部下も一緒に大声で泣きました。その声はノンノンノンノンと地面に波をたて、それが向うのサンムトリに届いたころサンムトリが赤い火柱をあげて第五回の爆発をやりました。 「ガアン、ドロドロドロドロ。」 風がどっと吹いて折れたクラレの花がプルプルとゆれました。〔以下原稿なし〕
「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」宮沢賢治(青空文庫)
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