飴だま(新美南吉)のあらすじ・登場人物
「飴だまを出せ」
- 心理
- 文字数
- 990字
- 読了目安
- 約2分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
わたし舟に乗り合わせた黒ひげのさむらいが、刀を抜いて母子のもとへ歩み寄る——原稿用紙わずか三枚の掌編でありながら、結びの鮮やかさで、新美南吉の代表的な小品として広く読まれている。教科書教材としてもおなじみの一編。
あらすじ
春のあたたかい日、わたし舟に二人の小さな子どもを連れた女の旅人が乗った。出ようとしたところへ、どての向こうから手を振りながらさむらいが走ってきて舟に飛び込む。舟のまん中にどっかり座ったさむらいは、ぽかぽかとあたたかい陽気にいねむりを始めた。黒いひげをはやした強そうなさむらいがこっくりこっくりするので、子どもたちはおかしくて笑う。母親は、さむらいが怒ってはたいへんと、口に指をあてて黙らせた。しばらくして、一人の子が「かあちゃん、飴だまちょうだい」と手をさしだす。もう一人も同じようにせがむ。ところが、ふところの紙袋に飴だまは一つしか残っていなかった。二人は両方からせがみ、母親は困り果てる。向こうへ着いたら買ってあげるからと言い聞かせても、子どもたちは「ちょうだいよオ」とだだをこねてやまない。そのとき、いねむりをしていたはずのさむらいがぱっちり目をあけた。母親は真っ青になる。いねむりの邪魔をされて怒っているにちがいない、子どもたちを斬り殺す気だ——。さむらいはすらりと刀を抜き、母子の前へ歩み寄って言った。「飴だまを出せ」。おそるおそる差し出された飴だまを、さむらいは舟のへりにのせ、刀でぱちんと二つに割った。そして「そオれ」と二人の子どもに分けてやり、また元の場所へ戻ってこっくりこっくり眠りはじめたのだった。
登場人物
- さむらい 舟に乗り合わせた、黒いひげの武士
- お母さん 二人の子を連れた女の旅人
- 子どもたち 飴だまをせがむ二人のきょうだい
冒頭部(原文より)
春のあたたかい日のこと、わたし舟にふたりの小さな子どもをつれた女の旅人がのりました。 舟が出ようとすると、 「おオい、ちょっとまってくれ。」 と、どての向こうから手をふりながら、さむらいがひとり走ってきて、舟にとびこみました。 舟は出ました。 さむらいは舟のまん中にどっかりすわっていました。ぽかぽかあたたかいので、そのうちにいねむりをはじめました。
「飴だま」新美南吉(青空文庫)
末尾部(原文より)
「飴だまを出せ。」 とさむらいはいいました。 お母さんはおそるおそる飴だまをさしだしました。 さむらいはそれを舟のへりにのせ、刀でぱちんと二つにわりました。 そして、 「そオれ。」 とふたりの子どもにわけてやりました。 それから、またもとのところにかえって、こっくりこっくりねむりはじめました。
「飴だま」新美南吉(青空文庫)
原文を読む
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