アプリで読む

無料・登録不要

ごん狐(新美南吉)のあらすじ・登場人物

秋の村に暮らす小狐ごん

  • 心理

新美南吉 1932年(昭和7年)1月 「赤い鳥」

文字数
4,848字
読了目安
約10分
表記
新字新仮名
舞台
  • 愛知県

この作品について

1932年(昭和7年)1月、『赤い鳥』に発表された新美南吉の童話。村のおじいさんから幼いころに聞いた話として、山に独りで暮らす小狐ごんの姿が語られる。畑を荒らすなど、村へ出てはいたずらをするごんは、雨上がりの川で兵十が魚を捕るのを見つける。兵十がその場を離れたすきに、またいたずら心が動きだす。百舌鳥の声や雨粒の残るすすき、濁った川の水といった秋の景色のなかで、狐の目に映る人間の暮らしが細かく描かれる。ごんが心の中で考えることと、村人が見聞きすることの違いにも目が向く物語だ。昔話を聞くような語り口を持ちながら、一匹の狐の気持ちを身近に感じさせる。没後の童話集『花のき村と盗人たち』にも収められ、小学校の国語教科書で長く読まれてきた。

あらすじ

中山さまというお殿様のいた昔、村の近くの山に、ごんという独りぼっちの子狐が住んでいた。いたずら好きのごんは、ある日、百姓の兵十が川で捕った魚を逃がし、鰻をくわえて逃げてしまう。十日ほど後、兵十の家で葬式があるのを見たごんは、あのとき自分が鰻を取ったせいで、兵十は病気の母親にそれを食べさせてやれなかったのだと思い込み、深く悔やむ。独りぼっちになった兵十に自分と同じ寂しさを重ねたごんは、罪滅ぼしのつもりで、鰯を盗んで兵十の家に投げ込み、その後も栗や松茸をそっと届けるようになる。だが加助は届け物が神さまのしわざだと言い、兵十もその言葉を受け入れる。ごんの心には二人とも気づかない。ある日、また家に忍び込んだごんの姿を見た兵十は、またいたずらに来たのかと、火縄銃で撃ってしまう。撃ったあとで土間に栗が固めて置いてあるのを見つけた兵十は、はじめて、いつも栗をくれていたのがごんだったと悟る。「ごん、おまいだったのか、いつも栗をくれたのは」――ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずくのだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。  むかしは、私たちの村のちかくの、中山というところに小さなお城があって、中山さまというおとのさまが、おられたそうです。  その中山から、少しはなれた山の中に、「ごん狐」という狐がいました。ごんは、一人ぼっちの小狐で、しだの一ぱいしげった森の中に穴をほって住んでいました。そして、夜でも昼でも、あたりの村へ出てきて、いたずらばかりしました。はたけへ入って芋をほりちらしたり、菜種がらの、ほしてあるのへ火をつけたり、百姓家の裏手につるしてあるとんがらしをむしりとって、いったり、いろんなことをしました。

「ごん狐」新美南吉(青空文庫)

末尾部(原文より)

「おや」と兵十は、びっくりしてごんに目を落しました。 「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」  ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。  兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。

「ごん狐」新美南吉(青空文庫)

名文

これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。

村に伝わる昔話として語り起こす、誰もが知る童話の書き出し。いたずら狐ごんと兵十の切ない交流を導く。

「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」  ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。

撃たれたごんの傍らで、兵十がようやく気づく最後の場面。すれ違ったまま終わる悲しみが、この一言に集まる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品