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とっこべとら子(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

狐にだまされた慾ふかじいさん

  • 幻想
  • 風刺

宮沢賢治 

文字数
3,884字
読了目安
約8分
表記
新字新仮名

この作品について

宮沢賢治の短編童話。人をだます狐「とっこべ、とら子」の昔話と、その話を笑う村人たちが、同じ狐にしてやられる現代の話を重ねた、軽妙な一編。二つの話の語り口の対比がおもしろい。

あらすじ

むかし、大きな川の岸にとっこべとら子という狐が住み、夜道の人から魚や油揚げを取りあげていた。ある晩、酔った慾ふかの六平じいさんが金らんの侍に会い、千両箱を十ほど預かる。重い箱をかついで帰ると、それは土手の砂利俵だった。六平は熱病になり、二か月のあいだ「とっこべとら子にだまされた」と叫んでいた。ところが語り手は、これは偽の話で、本当はゆうべのことを知っていると言う。村会議員になった平右衛門の祝いの席を、意地悪な百姓の小吉が怒って出て行き、門の前に疫病除けの「源の大将」の人形を立て直して帰った。客たちが帰ろうとすると、白い狐が道に現れ、平右衛門が薙刀で斬りつけたが、手ごたえのあったのは身代わりの人形だった。人々は、古狐の祟りを恐れて泊まり、夜中に庭の土産の包みが引かれる音を聞いたと話している。

登場人物

冒頭部(原文より)

 おとら狐のはなしは、どなたもよくご存じでしょう。おとら狐にも、いろいろあったのでしょうか、私の知っているのは、「とっこべ、とら子」というのです。 「とっこべ」というのは名字でしょうか。「とら」というのは名前ですかね。そうすると、名字がさまざまで、名前がみんな「とら」という狐が、あちこちに住んでいたのでしょうか。  さて、むかし、とっこべとら子は大きな川の岸に住んでいて、夜、網打ちに行った人から魚を盗ったり、買物をして町から遅く帰る人から油揚げを取りかえしたり、実に始末におえないものだったそうです。

「とっこべとら子」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

「源の大将」はお顔を半分切られて月光にキリキリ歯を喰いしばっているように見えました。  夜中になってから「とっこべ、とら子」とその沢山の可愛らしい部下とが又出て来て、庭に抛り出されたあのおみやげの藁の苞を、かさかさ引いた、たしかにその音がしたとみんながさっきも話していました。

「とっこべとら子」宮沢賢治(青空文庫)

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