カイロ団長(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
酔ったあまがえるの災難
- 幻想
- 風刺
- 文字数
- 9,380字
- 読了目安
- 約19分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。仕事熱心なあまがえるたちが、とのさまがえるの店で舶来ウィスキーを飲んで借金を負い、けらいにされてこき使われる話。無茶な命令と、それをやりこめる「王さまの新しいご命令」のくだりに、ユーモアと社会への風刺がにじむ。
あらすじ
三十匹のあまがえるは、虫たちから頼まれて花畑や庭をつくる仕事を楽しくやっていた。ある日、桃の木の下に「舶来ウェスキイ一杯二厘半」という店を見つけ、中に入って、勧められるまま何杯も飲んで酔いつぶれる。店のとのさまがえるは勘定を請求し、払えない者を次々にけらいにして「カイロ団」を作り、団長になる。団長は毎日、千本の木、万粒の種、一人九百貫の石と、できもしない仕事を言いつけ、鉄の棒でおどす。ところが、青空にかたつむりのメガホンが響き、王さまの新しい命令が告げられる。人にものを言いつけるときは、自分の目方で相手の目方を割って答えを出し、それを仕事にかけ、一度自分で二日やってみよ、というものだった。団長は同じ計算で石を引かされるが動かせず、足を痛めて悔いの涙を流し、仕立屋になると言う。あまがえるたちは前のように楽しく働き始める。
登場人物
- あまがえる 三十匹で庭づくりの仕事をしている
- とのさまがえる 酒を飲ませて、あまがえるをけらいにする。カイロ団長となる
冒頭部(原文より)
あるとき、三十疋のあまがえるが、一緒に面白く仕事をやって居りました。 これは主に虫仲間からたのまれて、紫蘇の実やけしの実をひろって来て花ばたけをこしらえたり、かたちのいい石や苔を集めて来て立派なお庭をつくったりする職業でした。 こんなようにして出来たきれいなお庭を、私どもはたびたび、あちこちで見ます。それは畑の豆の木の下や、林の楢の木の根もとや、又雨垂れの石のかげなどに、それはそれは上手に可愛らしくつくってあるのです。
「カイロ団長」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
みなさん。あまあがりや、風の次の日、そうでなくてもお天気のいい日に、畑の中や花壇のかげでこんなようなさらさらさらさら云う声を聞きませんか。 「おい。ベッコ。そこん処をも少しよくならして呉れ。いいともさ。おいおい。ここへ植えるのはすずめのかたびらじゃない、すずめのてっぽうだよ。そうそう。どっちもすずめなもんだからつい間違えてね。ハッハッハ。よう。ビチュコ。おい。ビチュコ、そこの穴うめて呉れ。いいかい。そら、投げるよ。ようし来た。ああ、しまった。さあひっぱって呉れ。よいしょ。」
「カイロ団長」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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