ポーの片影(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
批評家ポーと不遇の生涯
- 文字数
- 2,439字
- 読了目安
- 約5分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
芥川龍之介の短い評論。アメリカの作家エドガー・アラン・ポーの名前の読み方に始まり、批評家としての評判、芸術のための芸術という主張、一気に読める短い詩と小説を良しとする考え、死後まで続いた不幸を、「◇」で区切った短い段落で紹介する。話し言葉に近い「です・ます」調で書かれている。
あらすじ
「◇」で区切った短い段落でポーを紹介する。名前の「アラン」は養父の姓で、全集を編んだ敵グリスウォルドが書き加えたものだとする。ポーは1809年ボストンに生まれ、辛辣な批評家として知られ、その悪口は批評の役目は欠点を探すことにあるという彼の哲学から出たものだと説く。また詩は快楽のためのものとして教訓主義に反対し、芸術のための芸術の先駆となったこと、効果の統一を重んじ、詩は百行内外、小説も一度に読み切れるものがよいと主張したことに触れる。最後に、石碑が列車事故で壊れたこと、除幕式に名のある文人が来ず、ホイットマンただ一人が墓碑の前に立ったことを語る。
冒頭部(原文より)
◇ ポーとは、ヱドガー、アラン、ポーのことです。ポーは初めフランスに紹介された時分にはポーヱと呼ばれてゐました。英国人等にも、この読み方をするものがあります。けれども、ポーがたゞしいことは明かです。モ一つ名前についていへば、ヱドガーはいゝが、アランは決して彼が自ら持つてをつたものでないといふことです。つまり、アランだけは全然余計なものだといふことです。
「ポーの片影」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
その中に、タツタ一人、年老た、淋しい一人の人丈けが、黙々としてその墓碑の前に立ちました、それはホイツトマンでした。 ◇ ポーは斯く死後迄不幸な人だつたのです、殊に不幸の最大なるものは、その全集編纂が、「敵」であつたところのグリスボートの手に依つて為されたことです。然しながら、今日ポーの偉大さを疑ふものはありません。偉大なる人は遂に後代をまつより仕方がないものかと思はれます。
「ポーの片影」芥川龍之介(青空文庫)
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