一寸法師(楠山正雄)のあらすじ・登場人物
おわんの舟で京へのぼる
- 幻想
- 冒険
- 文字数
- 5,571字
- 読了目安
- 約11分
- 表記
- 新字新仮名
- 舞台
- 大阪府
- 京都府
この作品について
指ほどの小さな体に生まれた一寸法師が、おわんの舟で都へ上り、出世を目指す。楠山正雄が昔話を語り直した一編。小さな主人公の旅や、都の屋敷での暮らしが描かれる。
あらすじ
摂津国の難波に住む夫婦が、子を授けてほしい、指ほどの小さな子でもよいと住吉の明神に願をかけると、ほんとうに指ほどの男の子が生まれた。いくつになっても背は伸びず、往来を歩けば近所の子供にからかわれるが、一寸法師は黙ってにこにこしている。十六になった年、彼は運だめしのため京へ上りたいと願い出る。母から縫い針を一本もらって麦わらの柄とさやをこしらえ、おわんの舟に箸のかいを添えて住吉の浜から漕ぎ出し、一月かけて鳥羽に着いた。三条のもっとも立派な門構えの屋敷に飛び込んで奉公にありついた一寸法師は、まめまめしく働いて皆にかわいがられ、十三になる姫のお供を務めるようになる。あるとき喧嘩に負けた腹いせに、昼寝をしている姫の口もとに菓子の粉をなすりつけ、自分は庭で泣いて見せたところ、話は思わぬ方へ転がって、姫は屋敷を追い出されることになってしまう。責任を感じた一寸法師は姫のお供をして舟に乗るが、しけに流されて見知らぬ島へ漂着し、そこで二匹の鬼に襲われる。一匹に呑まれた彼は腹の中を刀で突き回して飛び出し、もう一匹に呑まれると目玉の裏を突いて、鬼たちを追い散らした。鬼が忘れていった打ち出の小槌を振ると、背は一尺、三尺と伸び、三度目には六尺近い立派な男になった。小槌で宝と舟を出して姫と帰国した一寸法師は、天子から位を授かり、宰相の許しを得て姫と結婚する。難波の両親も呼び寄せ、一家は楽しく暮らした。
登場人物
- 一寸法師 住吉の明神に授かった指ほどの大きさの男
- お姫さま 三条宰相殿の娘。一寸法師のいたずらで屋敷を追われる
- 三条の宰相殿 羽ぶりのいい大臣。一寸法師の主人
- 二匹の鬼 島で姫を襲い、打ち出の小槌を落としてゆく
冒頭部(原文より)
むかし、摂津国の難波という所に、夫婦の者が住んでおりました。子供が一人も無いものですから、住吉の明神さまに、おまいりをしては、 「どうぞ子供を一人おさずけ下さいまし。それは指ほどの小さな子でもよろしゅうございますから。」 と一生懸命にお願い申しました。
「一寸法師」楠山正雄(青空文庫)
末尾部(原文より)
天子さまはさっそく、一寸法師に位をおさずけになって、堀河の少将とお呼ばせになりました。堀河の少将は、改めて三条宰相殿のお許しをうけて、お姫さまをお嫁さんにもらいました。そして摂津国の難波から、おとうさんやおかあさんを呼び寄せて、うち中がみんな集まって、楽しく世の中を送りました。
「一寸法師」楠山正雄(青空文庫)
名文
それから新しいおわんのお舟に、新しいおはしのかいを添えて、住吉の浜から舟出をしました。
針の刀を腰に、おわんの舟とおはしのかいで都へ旅立つ一寸法師。小さな主人公の門出を描く名場面だ。
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。