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ねずみの嫁入り(楠山正雄)のあらすじ・登場人物

日本一の婿さがしはめぐりめぐって

  • 幻想

楠山正雄 1921年(大正10年)

文字数
1,614字
読了目安
約3分
表記
新字新仮名

この作品について

日本一の娘には日本一の婿を——そう思いつめたねずみの父親が、お日さま、雲、風、壁と、世界でいちばんえらい者をたずね歩く昔話。繰り返しの構成の妙で知られ、世界各地に同型の話がある。楠山正雄による、繰り返しの心地よい再話。

あらすじ

お倉の中で米も麦も粟も豆も持ち、ゆたかに暮らしているお金持ちのねずみの夫婦に、待ちに待った女の子が生まれた。娘は輝くほど美しく、ねずみの国で並ぶ者のない日本一の娘に育つ。「うちの娘は日本一なのだから、日本一の婿をもらわねばならない」——そう考えた父ねずみは、まず世界をあまねく照らすお日さまのもとへ天へのぼり、娘をもらってくれと願い出る。ところがお日さまは「わたしより、もっとえらいものがあるよ」と言う。雲が出れば自分は隠れてしまうからだ。父ねずみは雲を訪ねる。雲は「風にはかなわない」と言う。風を訪ねると「壁ばかりは吹きとばせない」と言う。そこで壁を訪ねると、壁はこう答えた——「それはだれでもない、そういうねずみさんさ。わたしがいくら固くなってがんばっていても、ねずみさんは平気でわたしの体を食い破って通り抜けていくじゃないか」。父ねずみは、ぽんと手を打って心から感心した。じゃあわたしどもが世の中でいちばんえらいのですね、ありがたい、ありがたい——にこにこしながら帰った父ねずみは、さっそく隣のちゅう助ねずみを娘の婿にした。若い夫婦は仲よく暮らし、たくさん子を生んで、お倉のねずみの一家はますます栄えたのだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 むかし、むかし、ある家のお倉の中に、お米を持って、麦を持って、粟を持って、豆を持って、たいそうゆたかに暮らしているお金持ちのねずみが住んでおりました。  子供がないので神さまにお願いしますと、やっと女の子が生まれました。その子はずんずん大きくなって、かがやくほど美しくなって、それはねずみのお国でだれ一人くらべるもののない日本一のいい娘になりました。

「ねずみの嫁入り」楠山正雄(青空文庫)

末尾部(原文より)

「これは今まで気がつかなかった。じゃあわたしどもが世の中でいちばんえらいのですね。ありがたい。ありがたい。」  とにこにこしながら、いばって帰っていきました。そして帰るとさっそく、お隣のちゅう助ねずみを娘のお婿さんにしました。  若いお婿さんとお嫁さんは、仲よく暮らして、おとうさんとおかあさんをだいじにしました。そしてたくさん子供を生んで、お倉のねずみの一家はますます栄えました。

「ねずみの嫁入り」楠山正雄(青空文庫)

名文

それはだれでもない、そういうねずみさんさ。わたしがいくらまっ四角な顔をして、固くなって、がんばっていても、ねずみさんはへいきでわたしの体を食い破って、穴をあけて通り抜けていくじゃないか。

日、雲、風と婿をたずね歩いた末に、壁が明かす答え。いちばんえらいのは自分たちだったという、昔話のおちの一節だ。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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