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続銀鼎(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

夜汽車に立つ亡き人の面影

  • 恋愛
  • 幻想

泉鏡花 1921年(大正10年)8月 「国本」

文字数
11,742字
読了目安
約23分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 福島県
  • 宮城県

この作品について

1921年(大正10年)8月に雑誌『国本』に発表された幻想的な短編。題の「続」は、前作「銀鼎」に続く作品であることを示す。夜汽車の中で饂飩を銀の鍋で温める詩人・園の目に、亡くなった衣絵の面影が湯気となって立ちのぼる。回想と幻覚が重なり合い、松島の旅の帰りの野道まで、現実と幻のあわいが続く。恋と喪失を耽美的な文体でたどる。

あらすじ

真夜中、白河を過ぎた陸奥行きの夜汽車で、詩人の園は饂飩を銀の鍋で温めながら、立ちのぼる湯気に亡き衣絵さんの姿を見て慌てて火を消す。膝に友染を掛けると、衣絵さんの死顔まで見えてくる。回想は、病床の衣絵さんを見舞った従弟の妻の話、洋画家の婿君・香川からの親書、そして葬儀へと進む。園は遺体の前で香川に「衣絵さんを思ってもよいか」と尋ね、許される。岩沼の駅で夜が明け、園は夢から覚める。松島の帰り、俥に乗った園は車夫の口から、四年ほど前に美しい若奥様が旦那と常夏の野を歩いたと聞かされる。園が衣絵の友染を取り出そうとしたとき、畔に常夏の花を手にした衣絵の面影が現れて招く。やがて幻は消え、園は気づくと、杵が池という人を取る水の大巌の端に、柵を越えて立っていた。

登場人物

冒頭部(原文より)

不思議なる光景である。  白河はやがて、鳴きしきる蛙の声、――其の蛙の声もさあと響く――とゝもに、さあと鳴る、流の音に分るゝ如く、汽車は恰も雨の大川をあとにして、又一息、暗い陸奥へ沈む。……真夜中に、色沢のわるい、頬の痩せた詩人が一人、目ばかり輝かして熟と視る。

「続銀鼎」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

杵(キネ。)が池と言ふ、人を取る水よ、と後に聞く。  衣絵さんに、其の称の似通ふそれより、尚ほ、なつかしく、涙ぐまるゝは、銀の鍋を見れば、いつも、常夏の影がさながら植ゑたやうに咲くのである。

「続銀鼎」泉鏡花(青空文庫)

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