竹取物語(和田万吉)のあらすじ・登場人物
竹から生まれ、月へ帰る姫
- 幻想
- 恋愛
- 文字数
- 6,970字
- 読了目安
- 約14分
- 表記
- 旧字旧仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 京都府
- 静岡県
この作品について
「物語の出で来はじめの祖」と呼ばれる日本最古の物語を、書誌学者・和田万吉が読みやすい文章に書き改めた一編。竹の中から生まれたかぐや姫が、五人の貴公子の求婚と帝の求愛をしりぞける。原典の筋立てが簡潔にたどれる。
あらすじ
むかし、讃岐の造麻呂という竹取りの翁が、光る竹の中から三寸ばかりの美しい女の子を見つけて連れ帰った。翁の妻とともに大切に育てると、娘は三月ばかりで一人前になり、家の中が隅々まで光り輝くほど麗しく成長する。翁は竹の節々から黄金を得て大きな身代となり、娘は嫋竹の赫映姫(なよたけのかぐやひめ)と名づけられた。評判を聞いた男たちが押しかけるなか、最後まで残った五人の貴公子に、姫はそれぞれ仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、火鼠の裘、竜の頸の玉、燕の子安貝という無理難題を課す。偽物をこしらえたり、命を落としかけたりして、五人はことごとく失敗した。やがて帝までが姫を望み、御狩のついでに姿を見て心を奪われるが、姫は「わたくしはこの国の人ではありません」と応じない。三年の文のやりとりののち、八月十五夜が近づくと姫は泣き暮らすようになり、自分は月の都の者で、迎えが来ると翁に打ち明けた。帝は二千の武士を遣わして屋敷を守らせたが、その夜、空から降りた月の人々の前で誰も戦う力を失ってしまう。姫は翁への形見の文と、帝への手紙に不死の薬を添えて渡し、天の羽衣を着て車に乗り、天へ昇っていった。帝は天にいちばん近い駿河の山でその薬を焼かせた。それゆえこの山を不死の山と呼び、その煙は今も雲の中へ立ち昇るという。
登場人物
- かぐや姫 光る竹から生まれた、月の都の姫
- 竹取りの翁 讃岐の造麻呂。姫を育てた老人
- 五人の貴公子 難題を課された求婚者たち
- 帝 姫を望み、最後に不死の薬を焼かせる
冒頭部(原文より)
むかし、いつの頃でありましたか、竹取りの翁といふ人がありました。ほんとうの名は讃岐の造麻呂といふのでしたが、毎日のように野山の竹藪にはひつて、竹を切り取つて、いろ/\の物を造り、それを商ふことにしてゐましたので、俗に竹取りの翁といふ名で通つてゐました。ある日、いつものように竹藪に入り込んで見ますと、一本妙に光る竹の幹がありました。
「竹取物語」和田万吉(青空文庫)
末尾部(原文より)
一方勅使は宮中に參上して、その夜の一部始終を申し上げて、かの手紙と藥をさし上げました。帝は、天に一番近い山は駿河の國にあると聞し召して、使ひの役人をその山に登らせて、不死の藥を焚かしめられました。それからはこの山を不死の山と呼ぶようになつて、その藥の煙りは今でも雲の中へ立ち昇るといふことであります。
「竹取物語」和田万吉(青空文庫)
名文
むかし、いつの頃でありましたか、竹取りの翁といふ人がありました。
日本最古の物語とされる竹取物語を、子どもにも読めるやさしい言葉で語り直した書き出し。原文の「今は昔、竹取の翁といふものありけり」にあたる。
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。