舌切りすずめ(楠山正雄)のあらすじ・登場人物
舌切りすずめ、お宿はどこだ
- 幻想
- 文字数
- 4,043字
- 読了目安
- 約8分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
「舌切りすずめ、お宿はどこだ」と呼びながら山野をたずね歩くおじいさんと、重いものと軽いもののつづらの選択——日本の五大昔話の一つを、楠山正雄が声に出して読める文章で再話した一編。子どもの心にもっとも強く残る昔話の場面の一つである。
あらすじ
子のないおじいさんが、すずめの子を一羽かごに入れて大切に飼っていた。ある日、留守のあいだにすずめが洗濯のりをなめてしまう。腹を立てたいじの悪いおばあさんは、すずめの舌をはさみで切り、追い出してしまった。山から帰ってそれを知ったおじいさんは嘆き悲しみ、翌朝から「舌切りすずめ、お宿はどこだ、チュウ、チュウ、チュウ」と呼びながら、野を越え山を越えてたずね歩く。やがて大きなやぶの中から「舌切りすずめ、お宿はここよ」という声が返り、赤いかわいらしい家からすずめが迎えに出てきた。すずめとそのきょうだいや友だちはごちそうと踊りでもてなし、帰りぎわに重さの異なる二つのつづらを差し出して、好きな方を選ばせる。年寄りだからと軽い方を選んだおじいさんが持ち帰り、おばあさんが開けてみると、中には金銀さんごの宝がぎっしり詰まっていた。それを見たおばあさんは、自分も欲しいとすずめの宿へ押しかけ、重いつづらの方を選んで背負って帰る。あまりの重さに耐えかね、道ばたで一休みしてふたを開けてみると——出てきたのは三つ目小僧、一つ目小僧、がま入道といったお化けの群れ。「この欲ばりばばあめ」と睨まれ、なめられ、おばあさんは金切り声をあげて逃げ帰った。むごいことをしたり、あんまり欲ばったりするものではない——おじいさんはそう言ったのだった。
登場人物
- おじいさん すずめをかわいがり、たずね歩く老人
- おばあさん すずめの舌を切る、いじの悪い老女
- すずめ 舌を切られてやぶの宿に帰った小すずめ
冒頭部(原文より)
むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがありました。 子供がないものですから、おじいさんはすずめの子を一羽、だいじにして、かごに入れて飼っておきました。 ある日おじいさんはいつものように山へしば刈りに行って、おばあさんは井戸ばたで洗濯をしていました。その洗濯に使うのりをおばあさんが台所へ忘れていった留守に、すずめの子がちょろちょろかごから歩き出して、のりを残らずなめてしまいました。
「舌切りすずめ」楠山正雄(青空文庫)
末尾部(原文より)
おばあさんはこれこれの目にあったと話して、「ああもう、こりごりだ。」と言いますと、おじいさんは気の毒そうに、 「やれやれ、それはひどい目にあったな。だからあんまりむじひなことをしたり、あんまり欲ばったりするものではない。」と言いました。
「舌切りすずめ」楠山正雄(青空文庫)
名文
おじいさん、重いつづらに、軽いつづらです。どちらでもよろしい方をお持ち下さい。
すずめのお宿を訪ねたおじいさんに、すずめが二つのつづらを差し出す。欲のない選択が幸いを呼ぶ、話の分かれ目だ。
原文を読む
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