アプリで読む

無料・登録不要

星の銀貨(グリム兄弟)のあらすじ・登場人物

やさしい心が星になる

  • 幻想
  • 翻訳

グリム兄弟 訳者 楠山正雄 1949年(昭和24年)2月

文字数
1,044字
読了目安
約2分
表記
新字新仮名

この作品について

グリム童話の短い一編「星の銀貨」を、児童文学者・楠山正雄がやさしい言葉で訳したもの(小峰書店『世界おとぎ文庫(グリム篇)』所収)。親も家もない貧しい少女が、自分より困っている人たちに持ち物を分け与える、ごく短い物語。

あらすじ

むかし、むかし、おとうさんもおかあさんも亡くした小さな女の子がいた。あまりに貧しく、住むへやも寝る床もなくなり、身につけたものと、情け深い人がめぐんでくれたパンのひとかけだけを持って、野原へ出た。女の子は心のすなおな信心深い子で、やさしい神さまだけをたよりに歩いていく。すると貧しい男が現れ、何か食べるものをくれと頼む。女の子はパンを丸ごと与えた。その後も、寒がる子供たちに次々と出会うたびに、自分の身につけたものを脱いで分けてあげる。やがて夜になり、森にたどり着いた女の子のところへ、もう一人の子が肌着をくれと言ってやって来た。暗いから誰にも見られないだろうと考え、女の子は肌着までも脱いで与えてしまう。すると、空の高いところから星がばらばらと降ってきて、それがすべて、ちかちかと光る本物の銀貨になった。女の子は、いつのまにか新しいやわらかな麻の肌着を着ており、拾い集めた銀貨で一生ゆたかに暮らした。

登場人物

冒頭部(原文より)

 むかし、むかし、小さい女の子がありました。この子には、おとうさんもおかあさんもありませんでした。たいへんびんぼうでしたから、しまいには、もう住むにもへやはないし、もうねるにも寝床がないようになって、とうとうおしまいには、からだにつけたもののほかは、手にもったパンひとかけきりで、それもなさけぶかい人がめぐんでくれたものでした。  でも、この子は、心のすなおな、信心のあつい子でありました。それでも、こんなにして世の中からまるで見すてられてしまっているので、この子は、やさしい神さまのお力にだけすがって、ひとりぼっち、野原の上をあるいて行きました。すると、そこへ、びんぼうらしい男が出て来て、

「星の銀貨」グリム兄弟(青空文庫)

末尾部(原文より)

いいわ、肌着もぬいであげることにしましょう。)と、おもって、とうとう肌着までぬいで、やってしまいました。  さて、それまでしてやって、それこそ、ないといって、きれいさっぱりなくなってしまったとき、たちまち、たかい空の上から、お星さまがばらばらおちて来ました。しかも、それがまったくの、ちかちかと白銀色をした、ターレル銀貨でありました。そのうえ、ついいましがた、肌着をぬいでやってしまったばかりなのに、女の子は、いつのまにか新しい肌着をきていて、しかもそれは、この上なくしなやかな麻の肌着でありました。  女の子は、銀貨をひろいあつめて、それで一しょうゆたかにくらしました。

「星の銀貨」グリム兄弟(青空文庫)

名文

さて、それまでしてやって、それこそ、ないといって、きれいさっぱりなくなってしまったとき、たちまち、たかい空の上から、お星さまがばらばらおちて来ました。

グリム童話『星の銀貨』で、すべてを人に与え尽くした女の子に起こる奇跡。短い話の頂点となる、静かで美しい一節。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品