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ラプンツェル(グリム兄弟)のあらすじ・登場人物

塔の窓から垂れる長い髪

  • 幻想
  • 翻訳

グリム兄弟 訳者 中島孤島 1938年(昭和13年)12月

文字数
3,777字
読了目安
約8分
表記
新字新仮名

この作品について

グリム兄弟が集めた『グリム童話集』の一編「ラプンツェル」を、中島孤島が訳したもの(冨山房『グリム童話集』)。魔女に塔へ閉じ込められた少女と、その長い髪、そして彼女を見つけた王子の物語。題名は、少女の名の由来となった野菜(チシャに当たる菜)にちなむ。

あらすじ

長いあいだ子供を望んでいた夫婦に、ようやく子が宿る。家の裏の窓からは、恐ろしい魔女の庭が見える。身ごもった妻は、その庭に生えるラプンツェルがどうしても食べたくなり、夫は庭に忍び込んで盗み取る。見つかった夫は許される代わりに、生まれた子を魔女に渡す約束をする。娘はラプンツェルと名づけられ、十二歳になると、魔女によって森の奥の高い塔に閉じ込められた。塔には戸口がなく、魔女は「ラプンツェル、髪を垂らしておくれ」と呼びかけ、窓から垂れた長い髪を伝って昇り降りする。ある日、森を通りかかった王子が魔女の呼び声を聞き、同じように髪を伝って塔に昇る。二人は互いに惹かれ合い、将来を約束する。ところが、二人の逢瀬は魔女に知られてしまう。ラプンツェルは髪を切られて荒野に追放され、王子は塔で魔女に思いがけない言葉を浴びせられ、絶望して身を投げ、茨で両の目を失う。盲目の王子は長年さまよい歩き、ついに荒野で歌う声を聞き当てる。ラプンツェルは双子を産んで暮らしていた。二人は再会し、彼女の涙が目に入ると、王子の目はふたたび見えるようになった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 むかしむかし夫婦者があって、永い間、小児が欲しい、欲しい、といい暮しておりましたが、やっとおかみさんの望みがかなって、神様が願いをきいてくださいました。この夫婦の家の後方には、小さな窓があって、その直ぐ向うに、美しい花や野菜を一面に作った、きれいな庭がみえるが、庭の周囲には高い塀が建廻されているばかりでなく、その持主は、恐ろしい力があって、世間から怖がられている一人の魔女でしたから、誰一人、中へはいろうという者はありませんでした。  或る日のこと、おかみさんがこの窓の所へ立って、庭を眺めて居ると、ふと美しいラプンツェル((菜の一種、我邦の萵苣(チシャ)に当る。

「ラプンツェル」グリム兄弟(青空文庫)

末尾部(原文より)

ラプンツェルは、その後、男と女の双生児を産んで、この沙漠の中に、悲しい日を送って居たのです。王子は、ここまで来ると、どこからか、聞いたことのある声が耳に入ったので、声のする方へ進んで行くと、ラプンツェルが直ぐに王子を認めて、いきなり頸へ抱着いて、泣きました。そしてその涙が、王子の眼へ入ると、忽ち両方の眼が明いて、前の通り、よく見えるようになりました。  そこで王子は、ラプンツェルを連れて、国へ帰りましたが、国の人々は、大変な歓喜で、この二人を迎えました。その後二人は、永い間、睦じく、幸福に、暮しました。  それにしても、あの年寄った魔女は、どうなったでしょう? それは誰も知った者はありません。

「ラプンツェル」グリム兄弟(青空文庫)

名文

「ラプンツェルや! ラプンツェルや!  お前の頭髪を下げておくれ!」

塔の下で魔女が呼びかける、グリム童話『ラプンツェル』の名高い呪文めいた言葉。長い髪が塔へ登る唯一の道になる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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