クリスマス・カロル(ディケンズ)のあらすじ・登場人物
今夜、三人の精霊が訪ねてくる
- 詳細なあらすじ
- 人物相関図
- 幻想
- 心理
- 翻訳
- 文字数
- 87,160字
- 読了目安
- 約2時間54分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
けちで冷酷な老商人スクルージが、クリスマス前夜に三人の精霊に導かれて過去・現在・未来を見せられるディケンズの名作(1843年)。夏目漱石門下の作家・森田草平が訳し、1929年(昭和4年)に岩波文庫として世に出た版である。今日の欧米におけるクリスマスの祝い方そのものを形づくったと言われる作品で、幽霊譚の枠組みを借りながら、貧しさと施しと悔悟を描く。
あらすじ
共同経営者のマアレイが死んで七年。ロンドンの両替商スクルージは、けちで冷たく、寒さも人の情けも寄せつけない老人になっていた。クリスマス前夜、甥の招きも断り、寄付を求める紳士を追い返し、書記のボブ・クラチットには渋りながら一日の休みを許す。その夜、鎖と金庫を引きずるマアレイの亡霊が現れ、自分と同じ末路を避けたければ三人の精霊の訪れを受けよと告げた。第一の精霊は過去のクリスマスへ彼を連れてゆく。寄宿学校に取り残された少年の自分、やさしかった妹、親方フェジウィッグの舞踏会、そして金銭への執着から婚約者に去られた日。第二の精霊は現在を見せる。わずかな給金で暮らすクラチット一家の食卓と、足の悪いティム坊やの姿、甥の家に響く笑い声。第三の、無言で黒い衣をまとった精霊が示したのは、誰にも悼まれない死者の寝台と、寝具まで剥ぎ取って売る者たち、そしてティム坊やの空いた椅子だった。墓石に自分の名を読み取ったスクルージは、変わることを誓って目をさます。窓の外はクリスマスの朝。彼は七面鳥を贈り、甥の家を訪ね、書記の給料を上げ、ティム坊やの第二の父となる。
登場人物
- スクルージ けちで冷酷なロンドンの老商人
- マアレイ 七年前に死んだ共同経営者。鎖を引きずる亡霊として現れる
- ボブ・クラチット 安い給金で働くスクルージの書記
- ティム坊や クラチットの末の子。足が悪く、松葉杖をついている
- 三人の精霊 過去・現在・未来のクリスマスをスクルージに見せる
人物相関図
章ごとの「詳細なあらすじ」
アプリでは、この作品を次の章立てで詳しく読めます(全文はアプリ内)。
- 一 この作品について
- 二 主要人物
- 三 主要なサブキャラクター
- 四 導入──七年目のクリスマス前夜
- 五 過去の精霊──置き去りの少年と「金色のもの」
- 六 現在の精霊──クラチット家の鵞鳥とティムの空席
- 七 現在の精霊──甥の笑い声と「無知」と「欠乏」
- 八 未来の精霊──誰にも悼まれない死
- 九 結末──クリスマスの朝
- 十 重要な設定と伏線
冒頭部(原文より)
第一章 マアレイの亡霊 先ず第一に、マアレイは死んだ。それについては少しも疑いがない。彼の埋葬の登録簿には、僧侶も、書記も、葬儀屋も、また喪主も署名した。スクルージがそれに署名した。そして、スクルージの名は、取引所においては、彼の署名しようとするいかなる物に対しても十分有効であった。 老マアレイは戸の鋲のように死に果てていた。 注意せよ。私は、私自身の知識からして、戸の鋲に関して特に死に果てたような要素を知っていると云うつもりではない。私一個としては、むしろ柩の鋲を取引における最も死に果てた鉄物と見做したいのであった。けれども、我々の祖先の智慧は直喩にある。そして、私のような汚れた手でそれを掻き紊すべきではない。
「クリスマス・カロル」ディケンズ(青空文庫)
末尾部(原文より)
彼自身の心は晴れやかに笑っていた。そして、かれに取ってはそれでもう十分であったのである。 彼と精霊との間にはそれからもう何の交渉もなかった。が、彼はその後ずっと禁酒主義の下に生活した。そして、若し生きている人間で聖降誕祭の祝い方を知っている者があるとすれば、あの人こそそれを好く知っているのだと云うようなことが、彼について終始云われていた。吾々についても、そう云うことが本当に云われたら可かろうに――吾々総てについても。そこで、ちびのティムも云ったように、神よ。吾々を祝福し給え――吾々総ての人間を!
「クリスマス・カロル」ディケンズ(青空文庫)
名文
先ず第一に、マアレイは死んだ。それについては少しも疑いがない。
物語の書き出し。共同経営者マアレイの死をわざわざ念押しするこの一文が、やがて亡霊となって現れるマアレイと、スクルージの一夜の物語への前触れになっている(森田草平訳)。
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。
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- 信号手 1929年(昭和4年)