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フランダースの犬(ウィーダ)のあらすじ・登場人物

ルーベンスの画の前で

  • 心理
  • 翻訳

ウィーダ 訳者 菊池寛 1929年(昭和4年)5月

文字数
33,285字
読了目安
約1時間7分
表記
新字新仮名

この作品について

ベルギーの田舎町を舞台に、絵を描くことを夢みる少年ネルロと老犬パトラッシュの結びつきを描いた、ウィーダ(マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー)の物語(1872年)。菊池寛の訳で「小学生全集」の一冊として世に出た。日本ではテレビアニメによって国民的な知名度を持ち、アントワープ大聖堂のルーベンスの画は物語の象徴となっている。原作の刊行地である欧米よりも日本で愛されてきた作品として知られる。

あらすじ

ベルギーの田舎町アンデルスの村はずれに、年老いたジェハン・ダースと孫のネルロが住んでいた。ある日、二人は金物屋にこき使われて道ばたに倒れていた大犬を助け、パトラッシュと名づけて家族に迎える。以来、パトラッシュは牛乳の荷車を引いて祖父と少年の暮らしを支えた。ネルロは絵を描くことが好きで、アントワープの大聖堂に掲げられたルーベンスの画をひと目見たいと願うが、拝観には金がいる。粉屋の娘アロアとは仲がよかったけれども、父のコゼツは貧しいネルロを遠ざけた。やがて祖父が世を去り、粉屋の風車小屋が焼けた一件でネルロに火つけの疑いがかかる。村人は二人を避け、牛乳運びの仕事も失われた。唯一の望みだった絵のコンクールにも落選し、家賃を払えずに家を追い出されたクリスマスの前夜、少年は雪の中でコゼツが落とした財布を拾い、金と引き換えではなくパトラッシュを託してアントワープへ向かう。犬はあとを追い、大聖堂の中で少年を見つけた。ネルロが画の覆いを引き裂くと、雲間から差した月明かりが、ずっと見たかったルーベンスの画を照らし出す。

登場人物

冒頭部(原文より)

ネルロとパトラッシュ――この二人はさびしい身の上同志でした。  ふたりともこの世に頼るものなく取り残されたひとりぼっち同志ですから、その仲のいいことは言うまでもありません。いや、「仲がいい」くらいな言葉では言いあらわせません。兄弟でもこれほど愛し合っている者はまずないでしょう。ほんとにこれ以上の親しさはかんがえられないほどの間柄でした。しかも、ふたり、と言っても人間同志ではないのです。ネルロは、フランスとベルギーの境を流れるムーズ河の畔の田舎町アンデルスに生れた少年。パトラッシュは、フランダース産の大きな犬なのです。このふたりは、年数から言ったら、いわゆるおなじ年ですが、一方はまだあどけない子供ですのに、一方はすでに老犬の部類に入っています。

「フランダースの犬」ウィーダ(青空文庫)

末尾部(原文より)

ふたりが生きている間に一生けんめいに求めていたものを、死んで何もいらなくなった今になって、はじめてアントワープの人達が与えたのです。  生命のある間はなれられなかったこのふたりは、死んでからもはなれませんでした。少年の腕はどうしてもはなすことのできないほどしっかりと犬を抱きしめていました。  恥じ入って後悔した村の人達は、ふたりのために、神さまが特別のお恵みをお与え下さるように祈りながら、墓を一つにして、主従抱き合ったままで葬りました。――永遠に――(おわり)

「フランダースの犬」ウィーダ(青空文庫)

名文

ネルロとパトラッシュ――この二人はさびしい身の上同志でした。

少年ネルロと老犬パトラッシュの友情を告げる書き出し。ひとりぼっち同士が結ばれる関係が、物語の終幕まで貫かれる。

生命のある間はなれられなかったこのふたりは、死んでからもはなれませんでした。

物語の結びに近い場面。少年と犬は最後まで離れず、村人たちは後悔のうちに二人を同じ墓に葬る。永遠の友情を静かに語る名場面。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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