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ルンペルシュチルツヒェン(グリム兄弟)のあらすじ・登場人物

わらを金につむぐ小さな男

  • 幻想
  • 翻訳

グリム兄弟 訳者 楠山正雄 1949年(昭和24年)2月

文字数
3,856字
読了目安
約8分
表記
新字新仮名

この作品について

グリム兄弟の『子どもと家庭のメルヒェン集』に1812年の初版から収められた昔話(KHM55「Rumpelstilzchen」)を、楠山正雄が子ども向けに訳したもの(小峰書店『世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人』所収)。水車小屋で粉をひく貧しい粉屋が、王さまの前で見えを張り、「わたしの娘はわらを紡いで金にいたします」と言ってしまう。娘はわらを積んだ部屋に閉じこめられ、途方に暮れて泣いていると、豆つぶのように小さな男がどこからともなく入ってくる。三晩くり返される取引、糸車が回る「ぶるるん」の音など、昔話らしい繰り返しと擬音を、楠山は声に出して楽しい日本語に移している。

あらすじ

貧しい粉屋が、王さまに見えを張って、自分の娘はわらを紡いで金にできると言ってしまう。王さまは娘を城へ呼び、わらでいっぱいの部屋に閉じこめて、朝までに金にできなければ命はないと言いわたす。泣いている娘の前に小さな男が現れ、首かざりと引きかえにわらを残らず金の糸に紡いでくれる。欲を出した王さまは、次の晩さらに大きな部屋に娘を入れ、小男は指輪と引きかえにまた金を紡ぐ。三晩目、王さまは成功すれば妃にすると約束するが、娘にはもう差し出す物がない。小男は、妃になって最初に生まれた子をくれるよう求め、娘は先のことはわからないと思って約束する。娘は妃となり、一年後に美しい子を生む。すると小男が現れて約束の子を求め、妃が泣いて頼むと、三日のうちに自分の名前を当てたら子は返すと言う。妃は思いつく限りの名前を挙げ、使いを国じゅうに出して珍しい名前を集めるが、どれも違うと言われる。三日目、使いの者が、山の下の森の小屋の前で一本足で跳ねまわりながら「おらの名前はルンペルシュチルツヒェン」と歌う小男を見たと報告する。妃はわざとクンツ、ハインツと言ってから、その名を言い当てる。小男は「悪魔が話したんだ」と叫んで地団駄を踏み、怒りのあまり自分の体を真っ二つに引き裂いてしまった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 むかし、あるところに、こなやがありました。水車小屋でこなをひくのを商売にして、まずしくくらしてはいましたが、ひとり、きれいなむすめをもっていました。  ところで、ひょんなことから、このこなやが、王さまとむかいあって、お話することになりました。そこで、すこしばかり、ていさいをつくろうため、粉屋はこんなことをいいました。 「わたくしに、むすめがひとりございますが、わらをつむいで、金にいたします。」

「ルンペルシュチルツヒェン」グリム兄弟(青空文庫)

末尾部(原文より)

 つかいの者の話のなかから、こびとの名前を聞きだしたとき、お妃はまあ、どんなによろこんだでしょう。みなさん、さっしてみてください。さて、そういうそばから、もうそこへ、れいのこびとはあらわれました。  そうして、「さあ、お妃さん、どうだね、わたしの名前はわかったかい。」と、いいました。  お妃はわざとまず、 「クンツかな。」 「ちがうわい。」 「では、ハインツね。」 「ちがうわい。」 「じゃあ、たぶん、おまえの名前は、ルンペルシュチルツヒェン。」 「悪魔が話したんだ、悪魔が話したんだ。」と、こびとはさけびました。そうして、腹だちまぎれに、右足で、したか大地をけりつけると、からだごとうずまるくらい深い穴があきました。それから、いかりたけって、両手に左足をひっぱるひょうしに、じぶんでじぶんのからだを、まっぷたつにひきさいてしまいました。

「ルンペルシュチルツヒェン」グリム兄弟(青空文庫)

名文

きょうはパンやき、あしたは酒つくり、 一夜あければ妃のこどもだ。 はれやれ、めでたい、たれにもわからぬ、 おらの名前は、 ルンペルシュチルツヒェン。

森のたき火のまわりで小人が一本足で跳ねながら歌う歌。だれにもわかるまいと得意がる名前こそ、物語の鍵を握る。

「じゃあ、たぶん、おまえの名前は、ルンペルシュチルツヒェン。」

三日目、お妃がとうとう小人の名前を言い当てる場面。名前を知られることが小人の力を失わせる、昔話らしい山場。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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