夢野久作の名文
夢野久作の作品から、よく知られた一節を集めました。
4件
瓶詰地獄
ああ………この離れ島に、救いの舟がとうとう来ました。
「第一の瓶」の手紙の書き出し。流れ着いた三つの瓶の手紙は時間をさかのぼる順に並べられ、救いの舟を目にした喜びの一行から、兄妹の秘められた地獄が逆向きに明かされていく。
ドグラ・マグラ
胎児よ 胎児よ 何故躍る 母親の心がわかって おそろしいのか
全篇の冒頭を飾る不気味な巻頭歌。母胎の記憶をめぐる呪術的な問いが、三大奇書と呼ばれる迷宮への扉を開く。
ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。 私がウスウスと眼を覚ました時、こうした蜜蜂の唸るような音は、まだ、その弾力の深い余韻を、私の耳の穴の中にハッキリと引き残していた。
時計の音から目覚める本文の語り出し。記憶を失った「私」が精神病院で自分を探し始める、迷宮への入口。
少女地獄
姫草ユリ子が自殺したのです。
夢野久作『少女地獄』の「何んでも無い」の衝撃的な書き出し。手紙という形式で、一人の少女をめぐる奇怪な出来事が語られる。