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少女地獄(夢野久作)のあらすじ・登場人物

三人の少女をめぐる連作

  • ミステリ
  • 怪奇

夢野久作 1936年(昭和11年)3月 「書き下ろし」

文字数
105,188字
読了目安
約3時間30分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

夢野久作が晩年の1936年(昭和11年)に刊行した、書簡体・記録体による三つの短編――「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」――から成る連作。いずれも、うら若い少女たちが、その純真さや異常な心理のゆえに、思いもよらない運命に巻き込まれていくさまを描く。第一話「何んでも無い」は、虚言癖をもつ美しい看護婦・姫草ユリ子を軸にした記録で、とりわけ名高い。変格探偵小説の名手・久作が、幻想と戦慄をこめて描いた代表作である。

あらすじ

「少女地獄」は、書簡や手記の形式で語られる三つの物語から成る。いずれも、うら若い少女が、その純真さや抜きさしならぬ心理のために、破滅の淵へと堕ちていく悲劇である。表題を代表する第一話「何んでも無い」の主人公は、姫草ユリ子という、可憐で清浄無垢な姿をした若い看護婦。彼女は誰からも愛される優秀な看護婦だったが、その内には、根も葉もない作り話をあたかも事実のように語らずにはいられぬ、恐るべき虚言癖が巣くっていた。彼女の紡ぐ「何んでもない」ような嘘の数々は、いつしか周囲の人々や新聞、警察までも巻き込む虚構の地獄絵巻を織りなしていく。やがて自らの嘘に追い詰められたユリ子は、その虚構を自らの死によって裏書きするかのように、みずから命を絶つ。彼女を診た二人の医師のあいだで交わされる手紙が、その少女の不可思議な心理と悲劇の真相を、少しずつ解き明かしていく。続く「殺人リレー」「火星の女」もまた、少女たちがもがきながら地獄へと沈んでいくさまを、猟奇と幻想の色濃い筆で描き出す。純真さゆえに救われぬ少女たちの悲劇を、久作が独特の戦慄とともに描いた、変格探偵小説の代表作である。

登場人物

冒頭部(原文より)

何んでも無い   白鷹秀麿兄 足下 臼杵利平  小生は先般、丸の内倶楽部の庚戌会で、短時間拝眉の栄を得ましたもので、貴兄と御同様に九州帝国大学、耳鼻科出身の後輩であります。突然にかような奇怪な手紙を差し上げる非礼をお許し下さい。  姫草ユリ子が自殺したのです。

「少女地獄」夢野久作(青空文庫)

末尾部(原文より)

 私はこうして貴方から女にして頂いた御恩をお返し致します。それと一緒に、私の愛する心からの愛人、殿宮アイ子さんに、ほんとうの意味の親孝行をさせて上げたいのです。私はこうして、すべてを清算しなければ、モトの虚無に帰る事が出来ないのです。  どうぞ火星の女の置土産、黒焦少女の屍体をお受け取り下さい。

「少女地獄」夢野久作(青空文庫)

名文

姫草ユリ子が自殺したのです。

夢野久作『少女地獄』の「何んでも無い」の衝撃的な書き出し。手紙という形式で、一人の少女をめぐる奇怪な出来事が語られる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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