きのこ会議(夢野久作)のあらすじ・登場人物
毒になれと説く毒茸たちの寓話
- 文字数
- 1,516字
- 読了目安
- 約3分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
夢野久作の童話。冬を前にした茸たちが、お別れの談話会を開く。人間の役に立つ茸たちが「取られてしまう」と嘆くと、毒茸たちは「役に立たなければいじめられない、毒になれ」と嘲笑する——役に立つとは何かを、皮肉とユーモアで問う寓話である。
あらすじ
冬が近づいたある夜、初茸・松茸・椎茸をはじめとする茸たちが集まって、お別れの談話会を始めた。椎茸は「人間が畑まで作ってくれる」と喜び、松茸は「まだ傘も開かぬうちに取られ、子孫を根絶やしにされる」と涙ながらに嘆く。皆が同情していると、うしろで毒茸の連中がケラケラと笑った。一番大きな蠅取り茸が立ち上がって言う——「お前達は皆馬鹿だ。世の中の役に立つからそんなに取られてしまうのだ。役にさえ立たなければいじめられはしない。俺達を見ろ、世間の毒になるから、繁昌して行くのだ」。なるほど毒になればこわいものはない、と感心する茸たち。だが翌朝、茸狩りにやって来た家族は——「毒茸はみんな憎らしい恰好をしている事ねえ」「僕が征伐してやろう」。毒茸たちは、大きいのも小さいのも、根本まで木っ葉微塵に踏み潰されてしまった。役に立つとは何か、生きるとはどういうことかを、皮肉とユーモアで問いかける、夢野久作の寓話である。
冒頭部(原文より)
初茸、松茸、椎茸、木くらげ、白茸、鴈茸、ぬめり茸、霜降り茸、獅子茸、鼠茸、皮剥ぎ茸、米松露、麦松露なぞいうきのこ連中がある夜集まって、談話会を始めました。一番初めに、初茸が立ち上って挨拶をしました。 「皆さん。この頃はだんだん寒くなりましたので、そろそろ私共は土の中へ引き込まねばならぬようになりました。今夜はお別れの宴会ですから、皆さんは何でも思う存分に演説をして下さい」
「きのこ会議」夢野久作(青空文庫)
末尾部(原文より)
「まあ、毒茸はみんな憎らしい恰好をしている事ねえ」 「ウン、僕が征伐してやろう」 といううちに、片っ端から毒茸共は大きいのも小さいのも根本まで木っ葉微塵に踏み潰されてしまいました。
「きのこ会議」夢野久作(青空文庫)
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