殺生谷の鬼火(山本周五郎)のあらすじ・登場人物
北海道の奥地に潜む怪異
- ミステリ
- 怪奇
- 文字数
- 9,474字
- 読了目安
- 約19分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 北海道
この作品について
山本周五郎が1937年(昭和12年)、「新少年」に発表した少年向けの怪奇探偵小説。理科大学生・椙原敦夫が、北海道の奥地の故郷から届いた凶報を受けて帰郷し、底無し沼にまつわる怪異と、一族の暗い秘密に立ち向かう。鬼火のゆらめく谷を舞台にした、スリルに満ちた一編である。
あらすじ
東京理科大学生の椙原敦夫のもとへ、北海道の奥地にある故郷の妹から、「母死ス父危篤至急帰レ」という電報が届く。訳が分からぬまま故郷へ急いだ敦夫を待っていたのは、「殺生谷の鬼火」と呼ばれる怪異と、一族にまつわる暗い秘密だった。底無し沼のほとりに揺らめく鬼火、次々と起こる不可解な出来事——理科の知識をたのむ敦夫が、怪奇の正体に迫っていく。物語の結び、老人・平造が、沼に浮いていた帽子を差し出して言う。「幾ら捜しても西の旦那はみつかりましねえ、この帽子が底無し沼に浮いとりましたから、殊に依ると彼処へ……」。「そうだ、其で宜いんだ。彼処が叔父さんに一番相応しいお墓だよ、――神よ、彼人の魂に平安あれ」。因果はめぐり、悪はその報いを底無し沼に沈める。北海道の奥地を舞台に、怪異とスリルを描いた、山本初期の少年ものである。
登場人物
- 椙原敦夫 理科大学生
- 西の叔父 一族の秘密にかかわる人物
冒頭部(原文より)
東京理科大学生の椙原敦夫は、北海道の奥地に在る故郷の妹から、 (母死ス父危篤至急帰レ、至急ヲ要ス) という意味の電報を受取った。 「なんだい是は」 敦夫は訳が分らぬという顔で呟いた。
「殺生谷の鬼火」山本周五郎(青空文庫)
末尾部(原文より)
「若旦那さま、幾ら捜しても西の旦那はみつかりましねえ、この帽子が底無し沼に浮いとりましたから、殊に依ると彼処へ……」 「そうだ、其で宜いんだ」 敦夫は頷いて云った。「彼処が叔父さんに一番相応しいお墓だよ、――神よ、彼人の魂に平安あれ」
「殺生谷の鬼火」山本周五郎(青空文庫)
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