隠喩とは

分類
文体・技法
読み
いんゆ

「ようだ」「ごとし」などの比較を示す語を使わず、ある物事を別の物事として表す比喩。暗喩、メタファーともいう。解説のために「記憶は迷路だ」といえば、記憶を実際の建造物と認定するのではなく、入り組んで出口を見つけにくいという性質を重ねている。「記憶は迷路のようだ」と明示的にたとえる直喩とは、表現の形が異なる。隠喩は「AはBだ」という言い切りに限られず、「思いが芽生える」のように動詞によって表すこともできる。この場合、植物が成長を始める姿を、気持ちが生まれる過程に移して捉えている。詩や小説では、日常の分類では離れている事物を結び、対象の新しい見え方を作る働きをもつ。一方、繰り返し使われて慣用的になった表現は、もはや比喩として強く意識されなくなることもある。隠喩を読む際には、何を何になぞらえているのかに加え、どの性質が共通し、どこに違いが残るのかを考えることが大切である。人間以外のものに人の行為や感情を与える擬人法とも関わるが、隠喩のすべてが擬人化ではない。同じ読みの「引喩」は、故事や既存の作品などに言及する別の技法を指す。

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