比喩とは
- 分類
- 文体・技法
- 読み
- ひゆ
ある物事を、それと似た別の物事にたとえて表す表現技法。「ようだ」「ごとし」などを使って明示的にたとえる直喩(明喩)、そうした語を使わずに「彼は狼だ」のように直接言い切る隠喩(暗喩)、人でないものを人にたとえる擬人法などがある。ほかにも、関係の深いもので言い換える換喩(「鍋が煮える」で中身を表すなど)や、全体と部分、類と種の関係で言い換える提喩(「花見」の花で桜を表すなど)、故事や先行作品を踏まえて言う引喩もある。『平家物語』の「驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」は直喩の例である。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にも、星空や鉱物、光にまつわる独自の比喩が多く見られる。比喩は、描写に具体性を与え、抽象的な概念を直感的に伝えることができる。詩では特に重んじられ、新しい比喩の発見が詩人の個性を示すことが多い。小説では、大正末の新感覚派が比喩を表現の中心にすえ、横光利一の『頭ならびに腹』の「沿線の小駅は石のように黙殺された」のような、感覚に訴える大胆な比喩で文壇を驚かせた。和歌の見立てや、古典の枕詞・序詞にも、比喩の働きを持つものが多い。ただ、繰り返し使われて定型になった比喩は、新鮮さを失って決まり文句となる。比喩を読むときには、何と何が重ねられ、どの性質が共通点として選ばれているかを考えると、作者のものの見方が見えてくる。