見立てとは

分類
文体・技法
読み
みたて

ある物を、姿や様子の似た別の物になぞらえて表現する技法。和歌では、降る雪を花と見、散る花を雪と見るように、見間違えるほどの類似を手がかりにして、目の前の景色を別の物の姿で言い表す。『古今和歌集』の時代にもっとも発達したとされ、雪と花、波と花、白露と玉、柳の枝と糸、紅葉と錦などの組み合わせが好んで詠まれた。花や紅葉を錦になぞらえる表現は平安初期の漢詩にも見え、漢詩文の発想を取り入れた面もあると指摘されている。小倉百人一首では、坂上是則の「朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪」が、明け方に一面を覆う雪の白さを有明の月の光と見まがう見立てであり、能因法師の「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」は、川を流れる紅葉を錦の織物に見立てている。知的な工夫で景色を組み替える技法であるため、頭で作った理屈っぽさが目立つとして好まれないこともある。見立ての発想は和歌にとどまらない。俳諧では、ある物を他の物になぞらえて句を作ることを見立てといい、江戸時代には歌舞伎の演出や浮世絵にも広がった。浮世絵では、よく知られた故事や人物の姿を当世風の美女や若衆に移して描く手法も見立てと呼ばれる。庭に富士山をかたどった築山を設けるのも見立ての一種で、日本の芸術に広く通じる発想である。

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