詞書とは

分類
文体・技法
読み
ことばがき

和歌の前に置き、歌の題、詠まれた時や場所、贈答の相手、その場の事情などを説明する文章。「題しらず」のように短いものから、一つの出来事を詳しく語るものまである。歌の本文だけでは分からない人物関係や状況を補い、言葉の意味や感情の向かう先を理解する助けとなる。漢文で書かれた『万葉集』の前書きは題詞と呼ばれる。詞書は作者自身の言葉とは限らず、歌集の編者が資料をもとに記したものもあるため、記述を直ちに歌人の実体験とみなすことはできない。同じ歌でも、収められた歌集によって詞書が違えば、読者が受け取る場面も変わる。和歌とそれを囲む散文が結びついて人物の行動や心情を語るという点で、歌物語を考える際にも重要である。また、詞書という語は絵巻物の絵に添えられた文章にも使われ、物語の経過や場面の背景を伝える役割を担う。これは和歌の前書きとは用途が異なる。俳句などの前書きにも用いられる語なので、注釈書や作品解説では何に添えられた文章かを確認する必要がある。本文と補足の文章を切り離さずに読むことで、短い詩歌や絵画の場面に込められた意味を具体的につかめる。

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