日本浪曼派とは

分類
文芸思潮
読み
にほんろうまんは

昭和10年(1935年)3月に創刊された同人誌「日本浪曼派」と、これに拠った作家・批評家たちの文学思想。保田與重郎が主宰し、亀井勝一郎・神保光太郎・中谷孝雄・中島栄次郎・緒方隆士が創刊同人に名を連ねた。近代への批判と日本の古典美への回帰を掲げ、ドイツ・ロマン派に学んだ「イロニー」を武器に、日常を卑近に写す自然主義以来の写実的な文学を痛烈に否定した点に特色がある。弾圧によってプロレタリア文学運動が壊滅したあとの思想的な空白を埋める受け皿となり、同人は終刊時に50名を超えた。太宰治は昭和10年、心中の生き残りという自身の体験を、小説とそれを書く作者の自意識との二重構造で描いた『道化の華』をこの誌上に発表しており、檀一雄・伊東静雄・芳賀檀らも加わっている。雑誌は昭和13年(1938年)に終刊した。戦時下で民族主義的な色彩を強めたため戦後は厳しい批判を浴びたが、近代への懐疑を突きつめたその姿勢は、のちの世代の作家にも影を落としている。

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