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有明集(蒲原有明)のあらすじ・登場人物

象徴詩の頂点をなす第四詩集

蒲原有明 1908年(明治41年)1月

文字数
18,536字
読了目安
約37分
表記
旧字旧仮名

この作品について

蒲原有明の第四詩集。1908年(明治41)1月刊。亡き父にささげられた一巻で、「豹の血」「若葉のかげ」「霊の日の蝕」「茉莉花」など、官能と憂愁、内省を重ねた象徴詩を収める。複雑な語彙と音の響きで知られ、蒲原有明の詩境の頂点とされる。日本の象徴詩の成熟を示す詩集として、近代詩史では上田敏・薄田泣菫と並んで言及される。

あらすじ

巻頭の「豹の血(小曲八篇)」は、「智慧の相者は我を見て今日し語らく、汝が眉目ぞこは兆惡しく日曇る」と、人相見の予言から恋の不安へ入っていく。続く「若葉のかげ」では、木犀の若葉の蔭に椅子をおき、夢うつつの中で初夏の花の幻を見る。「霊の日の蝕」では、罪の泉を何者かが吸うという暗い象徴が現れる。巻中には「月しろ」「蠱の露」「茉莉花」「寂静」、さらに「夏の歌」「秋の歌」、「滅の香」「碑銘」などの章が並び、茉莉花の香のただよう夜の室内を描く。巻末は人魚をめぐる長い物語詩で、老いた水手が三度人魚を見たと語る。

冒頭部(原文より)

この歌のひと卷を亡き父の み靈の前にささぐ。 豹の血(小曲八篇) 智慧の相者は我を見て 智慧の相者は我を見て今日し語らく、 汝が眉目ぞこは兆惡しく日曇る、 心弱くも人を戀ふおもひの空の 雲、疾風、襲はぬさきに遁れよと。

「有明集」蒲原有明(青空文庫)

末尾部(原文より)

『あなや』と叫ぶ隙もなく、 武邊の君が亡骸も、 姫も、人魚も、幻の 波にくるめく海の底。 水手の翁はその日より 海には出でず、『まさめにて 三度人魚を見き』とのみ。 (明治四十一年一月刊)

「有明集」蒲原有明(青空文庫)

名文

咽び嘆かふわが胸の曇り物憂き 紗の帳しなめきかかげ、かがやかに、 或日は映る君が面、媚の野にさく 阿芙蓉の萎え嬌めけるその匂ひ。

蒲原有明「茉莉花」の第一連。ジャスミンの香とともに、憂いと官能が溶けあう象徴詩の代表作。

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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