草わかば(蒲原有明)のあらすじ・登場人物
春の曙をうたう処女詩集
- 文字数
- 6,721字
- 読了目安
- 約13分
- 表記
- 旧字旧仮名
この作品について
蒲原有明の第一詩集。1902年(明治35)1月刊。「春の歌」「日神頌歌」など、春の曙の光と新しい命の喜びを歌う文語定型詩を収める。後年の象徴詩に比べると明るくやわらかな調子で、日本神話の語彙も多く、雅な七五調の響きを楽しめる。
あらすじ
序は「やさしきこころのうちに愛のひそむは、森のみどり葉がくれに鳥のすむに似たり」と始まり、このはかない草わかばには夢をさそうにおいもまだないと謙遜する。「春の歌」は、歓楽ふかく萌え出る若草の香、葉がくれに身を寄せて羞じる花の影を歌い、「日神頌歌」では機織りの神・羽槌雄の高機が夜明けに雲を紫やくれないの糸で織るさまを、神話の言葉で描く。巻末は曙の海辺に立つ作者が、清い光の中で雄々しい魂が生まれ、やさしい魂が歌いだすことを願う詩で、「嗚呼この清き曙に風吹きかへせ浪鳴りわたれ」と結ばれる。
冒頭部(原文より)
やさしきこころのうちに愛のひそむは、森のみどり葉がくれに鳥のすむに似たりといふなるに、このはかなき草わかばのかげにはいまだ夢さそふにほひもなきがごとく、わが調に慣れぬ胸のおもひは、色をも彩をもなしあへぬをいかにせむ。 春の歌
「草わかば」蒲原有明(青空文庫)
末尾部(原文より)
色と香を慕ふ時 おのづからなる命こそ 活きて極なく流れゆけ 響は浪に高くたち 光は雲に靆きて 嗚呼この清き曙に 風吹きかへせ浪鳴りわたれ (明治三十五年一月刊)
「草わかば」蒲原有明(青空文庫)
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