衢(森川義信)のあらすじ・登場人物
夜の静脉がかなしく映えている
- 文字数
- 137字
- 読了目安
- 約1分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
森川義信が『荒地』第三集に載せた短い詩。失われた約束、崩れる愛、戻らない言葉を、冷たい観念的な語で歌う。戦時の不安のなかで書かれた、若い詩人の孤独の表現。
あらすじ
「よりそふ暇もなく/こみあげる約束はうばはれていつた」と始まる。疲れのように吃っている炎、崩れる愛をさらに踏みしめ、時間のかげに身をこがしても、自分の力で倒れかかる。義足の記憶は埋もれ、虚しい体温から、すべての言葉は帰らない。いまは閉ざされた扉も消え、匂いに似た沈黙もなく、夜の静脈が悲しく映えている、と閉じる。
冒頭部(原文より)
よりそふ暇もなく こみあげる約束はうばはれていつた 疲れのやうに 吃つてゐる炎よ くづれる愛をさらに踏みしめ 時間のかげに身をこがしても じぶんの力で倒れかかり 義足よ
「衢」森川義信(青空文庫)
末尾部(原文より)
記憶は埋れ 虚しい体温から すべての言葉はかへらない いまは とざされた扉も消え 匂ひににた沈黙もなく 夜の静脉がかなしく映えてゐる
「衢」森川義信(青空文庫)
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