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衢(森川義信)のあらすじ・登場人物

夜の静脉がかなしく映えている

森川義信 1939年(昭和14年)7月 「荒地」

文字数
137字
読了目安
約1分
表記
新字旧仮名

この作品について

森川義信が『荒地』第三集に載せた短い詩。失われた約束、崩れる愛、戻らない言葉を、冷たい観念的な語で歌う。戦時の不安のなかで書かれた、若い詩人の孤独の表現。

あらすじ

「よりそふ暇もなく/こみあげる約束はうばはれていつた」と始まる。疲れのように吃っている炎、崩れる愛をさらに踏みしめ、時間のかげに身をこがしても、自分の力で倒れかかる。義足の記憶は埋もれ、虚しい体温から、すべての言葉は帰らない。いまは閉ざされた扉も消え、匂いに似た沈黙もなく、夜の静脈が悲しく映えている、と閉じる。

冒頭部(原文より)

よりそふ暇もなく こみあげる約束はうばはれていつた 疲れのやうに 吃つてゐる炎よ くづれる愛をさらに踏みしめ 時間のかげに身をこがしても じぶんの力で倒れかかり 義足よ

「衢」森川義信(青空文庫)

末尾部(原文より)

記憶は埋れ 虚しい体温から すべての言葉はかへらない いまは とざされた扉も消え 匂ひににた沈黙もなく 夜の静脉がかなしく映えてゐる

「衢」森川義信(青空文庫)

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