通俗講義 霊魂不滅論(井上円了)のあらすじ・登場人物
死ののちに、霊魂は滅びるか
- 文字数
- 75,228字
- 読了目安
- 約2時間30分
- 表記
- 新字新仮名
この作品について
唯物論を批判した『破唯物論』が高尚にすぎて一般に伝わらないという声を受け、井上円了が同じ主題を通俗平易に説き直した講義録。死後に霊魂は滅びるか滅びないかという、古来もっとも人の心を捉えてきた問いに対し、哲学・宗教・科学の各方面から論を立て、霊魂は不滅であると結論する。学者が高尚な理屈を弄んで一般に通じない言葉を語ることを「学者の利己主義」と呼び、非科学的と批判されようとも広く世人を教化する道を選ぶと宣言した序文が名高い。
あらすじ
円了はかつて『破唯物論』を著して世間の俗論を退けようとしたが、専門の学者からは非科学的と評され、一般の人からは高尚に過ぎて分からないと言われた。地方を巡っていたある夜、死後の霊魂が滅びるか否かを問われ、『破唯物論』を読めと答えたところ、あれは幽玄で浅学の者には迎えがたいので、通俗平易に説いてほしいと請われた。そこで一夕の通俗談を試み、その考案を敷衍して一冊としたのが本書である。序文で円了は、己の知るところは広く人に知らしめ、己の楽しむところは広く人と楽しむのが学者の博愛主義であると説き、通俗化すれば非科学的と評される傾きがあることを承知のうえで、その道を選ぶと宣言する。本論では、心と身の関係、生と死の境、精神現象が物質に還元できるかという問いを順に検討し、唯物論の立場を一つずつ論駁していく。さらに古今の霊魂説を集めた「霊魂集説」を付し、儒仏の説から『鬼神俚諺鈔』『沢庵雑録』にいたるまでを抄録して、霊魂不滅の考えが東洋の思想に広く根を張ってきたことを示す。
冒頭部(原文より)
自ら『霊魂不滅論』に題す 余、さきに世間の俗論を退治せんと欲し、『破唯物論』と題する一書を著ししが、哲学専門の学者は、これを評して非科学的となし、あるいは空想憶断となすも、世間一般の人士は、その論なお高尚に過ぎて了解し難しとなす。余、ここにおいて、『破唯物論』より一層通俗、卑近の説明を、世に紹介するの必要を感ぜり。
「通俗講義 霊魂不滅論」井上円了(青空文庫)
末尾部(原文より)
以上、「霊魂集説」は余がかつて抄録し、かつ記憶せるものを集めたるまでなれば、なおこのほかに諸家の霊魂説多々あるべしといえども、目下多忙、捜索にいとまあらず。よって、他日再版の節、拾遺増補せんと欲す。読者請う、これを了せよ。
「通俗講義 霊魂不滅論」井上円了(青空文庫)
原文を読む
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