東歌・防人歌とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- あずまうた・さきもりうた
『万葉集』に収められた、東国の人々の歌をいう。東歌は巻十四にまとめて収められた東国地方の歌で、約230首あり、国名が分かるものは遠江・駿河から陸奥まで国ごとに分けて並べられている。すべて短歌形式で、作者の名は記されない。土地の方言や民謡風の素朴な表現が見られ、恋の歌が多い。防人歌は、おもに巻二十に収められた歌で、防人とは九州北部の沿岸の防衛のために東国から送られた兵士たちのことである。故郷の父母や妻子との別れを悲しむ歌が多く、天平勝宝7年(755年)に難波で兵部省の役人として防人を検校していた大伴家持が、防人たちから提出された歌を集めて記録した。家持は進上された166首のうち「拙劣」な歌を除いて84首を載せたと記しており、東歌と違って作者の名や国が添えられている。防人の家族が詠んだ歌も含まれ、巻十四などにも防人の歌が見える。都の貴族の歌とは異なり、庶民の生活の中から生まれた飾らない言葉が、素朴で力強い感情を伝える。『万葉集』が貴族だけのものではなく、広い階層の歌を含んでいることを示す例として重んじられる。